2025年05月15日

金子差入店

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©2025映画「金子差入店」製作委員会

監督・脚本:古川豪
主題歌:SUPER BEAVER「まなざし」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
出演:丸山隆平、真木よう子、三浦綺羅、川口真奈、北村匠海、村川絵梨、甲本雅裕、根岸季衣、岸谷五朗、名取裕子、寺尾聰

刑務所や拘置所に収容された人への差入を代行する「差入屋」。
金子真司は妻の美和子と「差入店」を営んでいる。伯父の星田から引き継いだ住居兼店舗で、引退した星田と10歳になる息子の和真と一緒に暮らしている。
ある日、和真の幼馴染の花梨が殺害される。一家が花梨の死から立ち直れないでいた時、花梨を殺した青年・小島の母親から差入の代行と手紙の代読を依頼される。面会した小島は、頑なな態度で、母親の手紙の代読も聞こうとしない。小島の母親からは、息子には話し相手が必要だと思うと再度の差入を頼まれる。金子は、小島と話せば話すほど「なぜ、何のために殺したのか」という疑問と怒りを覚える。
そんな時、毎日のように拘置所を訪れている女子高生に気づく。彼女は自分の母親を殺した男との面会を強く求めているが、拒否され続けていた。2つの事件と向き合ううちに、金子自身の過去が周囲に露となり、家族の絆を揺るがしていく──。

善良そうに見える金子ですが、実はつらい「過去」を抱えていました。だからこそ、人に寄り添った差入屋を営むことができるのだと感じさせてくれます。SUPEREIGHT丸山隆平さんが、そんな金子の姿を、じんわりと滲み出るように演じています。その過去も包み込むように寄り添って暮らす妻・美和子を演じる真木よう子さんも素敵です。
自分の仕事を継ぐことになった甥を見守る伯父の星田役の寺尾聰さんも渋いです。息子にお金をせびる母親役の名取裕子さんも、これまでにない役柄。ど迫力です。
そして、何より凄みを見せてくれたのが、頑なな殺人犯・小島を演じた北村匠海さん。こんな役もこなせるのだと驚かされます。
この作品を通じて、刑務所や拘置所に収容された人への差入を代行する「差入屋」という職業があることを知りました。土日には面会できないので平日働いている人や、遠方の家族なども足が遠のくということもあって需要があるそうです。また、差入の厳しいルールを熟知しているのも差入屋。
でも、そういう職業柄、世間から疎まれることも多々あって、家の前の鉢植えの花が度々壊されます。監督がこだわったのは、白いデイジーの花。時期的に売っていなかったので、建物の横で育ててもらったそうです。花言葉は「平和」。
公式サイトの古川豪監督インタビューに、本作を制作した思いが書かれています。ぜひお読みください。(咲)


第29回釜山国際映画祭 コンペティション部門 <NEW CURRENTS(ニューカレンツ)>正式出品

2025年/日本/125分
製作:「金子差入店」製作委員会 製作幹事:REMOW 製作プロダクション:KADOKAWA 
配給:ショウゲート
公式サイト:https://kanekosashiireten.jp/
★2025年5月16日(金)TOHOシネマズ日比谷 ほか全国ロードショー
posted by sakiko at 20:09| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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