監督・撮影・編集:岩間玄
企画・プロデュース:土屋敏男
語り:岸井ゆきの
トンネルを抜けるとそこには「わたのまち」がある…
そう思い込んでいた。
「街の繊維産業に光を当てる映画を作ってほしい」と市の依頼を受け、三河・蒲郡市を訪れた監督は途方に暮れた。1200年前、日本に初めて綿花がもたらされた街。戦後、衣類が不足する中、織れば飛ぶように売れた空前の好景気で朝から晩まで街のあちこちで「ガチャン、ガチャン」と音が鳴り響いていた。しかし、かつての活気は失われ、織機の音も聞こえてこない。そこにあるのは、街の構造的な問題と人々の諦めムードだった。ここに描くべき希望があるのか?映画制作は難航を極める。そんな中、わたを種から育て紡ぐ80歳の職人と出会い、映画作りがその職人の背中を押し、街を揺さぶり、人々の眠っていた情熱が燃え上がっていく。そして、舞台は蒲郡からロンドンへ怒涛の如く展開し、日本のモノ作りの本気が、海を越えて人々の心を掴み、「繊維の街」に奇跡をもたらす。
歴史ある繊維産業がすっかり廃れてしまった蒲郡の町で、日本で初めて綿花がもたらされた地として、伝統を再興しようとする人たちの思いが、ほっこりと伝わってくる素敵なドキュメンタリー。ふんわりと青空に綿のように広がる雲のもと、わたを種から育てる方、かつての柄を再現しようとする職人さん、ふわふわとした衣装でロンドンの町を再現した織物を披露しながら舞う若い女性たち・・・ 岸井ゆきのさんのナレーションが、とても雰囲気があって、とても不思議なドキュメンタリーでした。
昨年10月に公開された『BISHU ~世界でいちばん優しい服』は、毛織物(ウール)の産地「尾州」を舞台にした親子の物語でした。
尾州(愛知県一宮市を中心に、津島市、稲沢市、江南市、岐阜県羽島市など、愛知県尾張西部エリアから岐阜県西濃エリア)が、世界三大毛織物(ウール)の産地だと知ったのですが、三河は、綿織物の伝統ある産地だったと知りました。
本作の中で、かつての綿織物の見本帳が、大事に保管されていて、それが外国の方の手にも渡っていて、伝統の素晴らしさが今に伝わっていることも知りました。(咲)
2024/日本映画/99分/ビスタ/DCP/5.1ch
Sponsored by 映画『わたのまち、応答セヨ』プロジェクト委員会
配給・宣伝:鈴正 JAYMEN TOKYO ©ゴンテンツ
公式サイト:https://watanomachi.com
公式X(旧Twitter):@watanomachi
★2025年5月2日(金)新宿シネマカリテ ほか全国ロードショー
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