2025年04月27日

政党大会 陰謀のタイムループ  原題:Maanaadu 

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©V House Productions

監督:ヴェンカト・プラブ
脚本:ヴェンカト・プラブほか  製作:スレーシュ・カーマーッチ
撮影:リチャード・M・ナーダン 音楽:ユヴァン・シャンカル・ラージャー
出演:シランバラサン、S・J・スーリヤー、カリヤーニ・プリヤダルシャン
S・A・チャンドラシェ―カル、Y・G・マヘーンドラン、アラヴィンド・アーカーシュ、カルナーカラン、プレームジ・アマラン

ドバイから友人の結婚式に参列するためにインドに帰ってきた青年・カーリク。飛行機で隣り合わせた女性シータも、同じウーティ(南インド・タミル・ナードゥ州の避暑地)での結婚式に参列するという。カーリクは花嫁ザリーナ側の招待客だが、シータは花婿イルファンの同僚だという。女性たち数人にブルカを被らせて、花婿に花嫁を当てさせるゲームをする為、シータは花嫁にブルカを渡すよう頼まれる。シータは目印にブルカに黄色い粉をつけて渡す。ところが、このブルカを被った花嫁ザリーナをカーリクたちが連れ去る場面を見てしまう。実は、ザリーナをほかの男性と駆け落ちさせる作戦だった。車で逃走中に、カーリクの車がラフィークという男性を轢いてしまう。警察官・ダヌシュコディに拘束されたカーリクはラフィークの身代わりにプレスのIDカードを持たされ、政党大会の会場に連れていかれる。演説中の首相を撃てと命じられ、テロリスト犯に仕立てられたカーリクはその場で射殺される。が、気がつくと、朝のフライトの中だった・・・

死ぬたびにタイムループすることを悟ったカーリクは、暗殺テロをなんとかふせごうと、我が身を危険に投じて奔走します。警察官・ダヌシュコディは、州首相の座を狙っている政治家とグルになって、州首相を政党大会の場で暗殺し、宗教的対立から暴動を起こそうと企んでいたのです。
冒頭の飛行機の中の場面で、カーリクとシータの会話から、カーリクはイスラーム教徒で、シータはヒンドゥー教徒とわかります。シータはムスリムの友人も多いと、好意的です。
カーリクは、インド中央部のヒンドゥーの聖地ウッジャイン生まれ。母親が産気づいた時、モスクが破壊され暴動が起こり、ヒンドゥー教徒に助けられ、ヒンドゥー寺院で生まれたとシータに語ります。何度もタイムループするカーリクの話を聞いて、シータは、「アッラーとシヴァ神が組んで、あなたを通じてなんとかしようとしている。タイムループには目的があるはず」と語ります。無実のムスリムに罪をきせようとしているとも。
「アメリカで100人殺せばサイコ、イスラーム教徒が殺せばテロ」という言葉も出てきました。
山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映されたインドの『わが理想の国』は、2019年に可決されたインド市民権改正法に基づく国民登録簿からイスラーム教徒が外されたことに抗議する女性たちを描いた映画でした。ノウシーン・ハーン監督、「今、インドではほんとにイスラーム教徒が虐げられているの」と語っていました。
去年2月からムンバイで仕事している私の友人も、パキスタンにも知り合いがいるしイスラームに関心があるのですが、とてもそのことを同僚に話せない雰囲気だと言っています。宗教に基づく印パ分離独立が、ヒンドゥー至上主義のモディ首相のもと、さらに対立を深めている様相で、平和共存できないものかと憂います。
この映画、インドのヒンドゥー教徒の観客にどのように受け止められたのかが気になります。(咲)


2021年/インド/タミル語/147分/R15+
配給:SPACEBOX
公式サイト:https://spaceboxjapan.jp/seitotaikai/
★2025年5月2日(金)より新宿ピカデリーほか全国順次公開


posted by sakiko at 20:22| Comment(0) | インド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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