2025年03月30日

1980 僕たちの光州事件  原題:1980

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監督・脚本:カン・スンヨン
出演:カン・シニル、キム・ギュリ、ペク・ソンヒョン、ハン・スヨン、ソン・ミンジェ

『ソウルの春』から5ヶ月、 小さな幸せを夢見た家族をのみ込んだ大きな悲劇

1980年5月17日。少年チョルスの祖父は念願だった中国料理の店「和平飯店」をオープンさせ、家族は幸せに包まれていた。開店を祝って盛大に踊りが繰り広げられ、チョルスの大好きな幼馴染のヨンヒや優しい町の人たちも祝福してくれる。なせか、父親はそこにいない。そんな最中、母の妹が髪を振り乱して帰ってきて、駅前で警察が催涙弾を発砲しているという。店の前を、「金大中を解放しろ」と叫びながら、デモ隊が通っていく。
平穏に暮らす人々だったが、後に「光州事件」と呼ばれる歴史的悲劇が待ち受けていた・・・

少年チョルスの目線で描かれる物語。お祖母さんの姿が見えませんが、叔父サンドゥを産んだ時に亡くなったことが語られます。そのサンドゥは、一週間後に結婚式を控えているのですが、警察に連行されてしまいます。婚約者が一人で実家に挨拶に行きます。
大好きな幼馴染のヨンヒの父親は軍人で、サンドゥがどこにいるのか聞いてみたいのですが、それも憚れます。チョルスの父はソウル大学を出たあとも、実は学生運動に身をやつしていて、市役所に立てこもっています。そんな中でも、チョルスの一番の気がかりは、大好きなヨンヒがこの町から引っ越してしまうらしいこと。
市役所立てこもりが続き、チョルスの祖父はたくさんのジャージャー麵を作って差し入れます。祖父を演じたカン・シニルさん、テレビドラマでよく笑わせてくれる方。映画にも名脇役としてたくさん出演していますが、今回は主役。チョルスの母親役のキム・ギュリさんも好演。
映画の最後に、実際の当時の光州の人たちの姿が映し出されます。亡くなった家族の遺体のそばで嘆く人たち・・・ 「国民を殺せと命令した元凶は誰なのか・・・」と語るキム・ソンヨン神父の肉声が、胸にぐさりと響きました。
数多くの美術監督を務めてきたカン・スンヨン監督の長編第一作。忘れられない映画となりました。(咲)


★光州事件、そして光州事件に至る関連作品★
『光州5・18』(2007)
『タクシー運転手〜約束は海を越えて〜』(2018)

『KCIA 南山の部長たち』(2019)
『ソウルの春』(2023)

2024年/韓国/99分/G/5.1ch/シネマスコープ
配給:クロックワークス
公式サイト;https://klockworx.com/movies/1980/
★2025年4月4日(金)よりシネマート新宿ほか全国公開




posted by sakiko at 19:52| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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