2025年3月28日 新宿武蔵野館、TOHOシネマズシャンテ、ユーロスペース他全国公開
劇場情報
破滅的写真家、深瀬昌久の波乱万丈の人生を描く
監督・脚本・プロデューサー:マーク・ギル
撮影:フェルナンド・ルイス
プロダクションデザイナー:金勝浩一
音楽:テオフィル・ムッソーニ ポール・レイ
出演:浅野忠信、瀧内公美、ホセ・ルイス・フェラー、古舘寛治、池松壮亮、高岡早紀
ダークでシュールなラブストーリー
写真家深瀬昌久の最強の被写体は、妻洋子と哲学的な鴉(カラス)の化身だった
1934年、北海道中川郡美深町で生まれた深瀬昌久。父の写真館を継ぐことを拒んで上京し、日本大学芸術学部写真学科を卒業。1968年に写真家として独立。そんな深瀬の最強の被写体は妻の洋子。二人は革新的な作品を作り出していった。しかし、天賦の才の一方で、心を閉ざし、闇を抱えていた。やがて、カラスの写真を撮り始め、暗示的な、少し不気味な写真を撮るようになる。
1974年、森山大道らとアメリカ・MoMAで開催された歴史的な日本写真の展覧会「New Japanese Photography」に出展し、世界にも知られた。一躍時代の寵児となったが、たびたび酒に溺れ、1992年転落事故で脳障害を負い20年の闘病の末、2012年に78歳で亡くなった。北海道(1950年代)、NY(70年代)、1992年の東京まで、疾風怒濤のダークでシュールなラブストーリーを描く。
監督は、英国マンチェスター出身の、作家、監督、写真家である元ミュージシャンのマーク・ギル。2015年、深瀬昌久の作品に衝撃を受け、9年かけて映画化にこぎつけたという。深瀬昌久を演じたのは、昨年(2024)ハリウッド製作のドラマ「SHOGUN 将軍」で、ゴールデングローブ賞助演男優賞(テレビドラマ部門)を受賞した浅野忠信。洋子を演じたのは瀧内公美(『火口のふたり』『由宇子の天秤』『敵』)。
カラスの写真で知られる写真家深瀬正久。1974年、荒木経惟、東松照明、細江英公、横須賀功光、森山大道とともに「ワークショップ写真学校」を開講。ここからは、倉田精二、北島敬三、石川真生らの写真家が輩出された。同じ1974年に「New Japanese Photography」に出展している。この年は深瀬にとって充実した年になったことでしょう。
1970年に会社の写真部に入部した私としては、深瀬正久の名前を知ってはいたけど詳しくは知らなかった。この映画で、こんな破滅的な生き方をした人だったということを知り驚いた。それに、日本デザインセンターや河出書房新社などにも勤務していたことも知った。いつの間にか名前を見なくなったと思ったけど、1992年に転落事故で脳障害を負ってしまったのですね。それでも20年も闘病生活をしていたんだ。ほんとに破滅的な生涯を送った人だったんだ。浅野忠信はそんな深瀬の破天荒な生涯を演じたが、主演男優賞ものの演技だったと思う。
「レイブンズ」の意味を調べてみたら、「ワタリガラス」とあったが、「鴉」の写真展の英語のタイトルが「Ravens(レイブンズ)」ということだった(暁)。
公式HP https://www.ravens-movie.com/#top
2024年製作/116分/PG12/フランス・日本・ベルギー・スペイン合作
配給:アークエンタテインメント
2025年03月27日
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