2025年03月29日

おいしくて泣くとき

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ⓒ2025映画「おいしくて泣くとき」製作委員会

監督:横尾初喜 
脚本:いとう菜のは 
音楽:上田壮一
原作:森沢明夫「おいしくて泣くとき」(角川春樹事務所 刊)
主題歌:Uru「フィラメント」(ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ)
出演:長尾謙杜、當真あみ
水沢林太郎、芋生悠、池田良、田村健太郎、篠原ゆき子、安藤玉恵
美村里江、安田顕、ディーン・フジオカ

サッカー部のエースだった心也(長尾謙杜)は、怪我をして大会にも練習にも出られない日々。“学級新聞コンクール”の係を決める時、部活に所属していない夕花(當真あみ)と共に、休部状態の心也が強引に指名される。
心也の父が営む大衆食堂“かざま食堂”はこども食堂も兼ねていて、そこに度々弟を連れてやってくる夕花とは顔馴染だった。最初はぎくしゃくしていたが、次第に打ち解け、2人だけで”ひま部“を結成。家にも居場所がなく、クラスで孤立していた夕花だったが、心也といる時だけが大切な時間になっていく。心也も夕花に次第に惹かれていく。
夏休みになり、夕花の暮らすアパートに向かった心也は、義父に殴られ、投げ出された夕花を目撃する。咄嗟に夕花の手を取り、心也は全速力で走る。
「遠くに逃げたい」という夕花の言葉に、心也は、かつてまだ母が生きていた頃に、両親と訪れた海辺の町に夕花を連れていく。亡き母と一緒に四つ葉のクローバーを探した公園で、心也は一生懸命、四つ葉のクローバーを探すが見つからない。駅で夜を明かす二人。心也は夕花に自分の想いを告白し、大事にしていたあるものを渡す。さらに遠くへ逃げようと夕花に告げるが、2人の別れは突然やってきた。

それから30年、夕花には一度も会えることなく時が過ぎた。心也(ディーン・フジオカ)は、父から引き継いだ食堂を営んでいた。ある日、突然、車が飛び込んできて店が大破し、営業停止を余儀なくされる。途方に暮れる心也のもとに、1人の若い女性(芋生悠)がやって来て、店の再建を任せてほしいという・・・

心也の父親は、大衆食堂を営みながら、子どもたちには無料で食事を提供する「子ども食堂」の役割も果たしています。“バター醤油焼うどん”を美味しそうに食べる夕花の幼い弟に、「お代わりはたくさんあるからね」と優しく伝えます。子ども食堂のために、父親は地元で売り物にならない出来の悪い野菜などを集めていることから、心也は同級生たちから陰口をたたかれます。また、子ども食堂の常連の不良の同級生から呼び出されて、自分が通ってることを言いふらしただろうと殴りかかろうとされます。
家が貧しくて、存分に食べられない子どもたちにとって、子ども食堂は命綱ともいえますが、そこに頼っていることを知られたくない気持ちもわかります。本作は、子ども食堂の存在の大切さや、子どもたちの複雑な思いも教えてくれました。
学校時代に好きだったのに、いろんな事情で会えなくなってしまったということも、多くの人が経験しているのではないでしょうか。
突然の別れから30年経っても、心の奥深くに淡い恋心を秘めて、父親譲りの“バター醤油焼うどん”を作る心也を演じたディーン・フジオカさん、素敵でした。(咲)


2025年/日本/109分/G
製作幹事:WOWOW 制作プロダクション:AX-ON 制作協力:パイプライン 
配給:松竹
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/oishikute-nakutoki/
★2025年4月4日(金)全国公開



posted by sakiko at 23:53| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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