2025年03月09日
ドマーニ! 愛のことづて 原題:C'è ancora domani
監督:パオラ・コルテッレージ
出演:パオラ・コルテッレージ、ヴァレリオ・マスタンドレア、ジョルジョ・コランジェリ、ヴィニーチオ・マルキオーニ
戦後で荒廃したローマで逞しく生きる市民たちと権利を渇望する女性たち
1946年5月、戦後まもないローマ。デリア(パオラ・コルテッレージ)は家族と一緒に半地下の家で暮らしている。夫イヴァーノはことあるごとにデリアに手を上げ、意地悪な義父オットリーノは寝たきりで介護しなければならない。夫の暴力に悩みながらも家事をこなし、いくつもの仕事を掛け持ちして家計を助けている。多忙で過酷な生活ではあるが、市場で青果店を営む友人のマリーザや、デリアに好意を寄せる自動車工のニーノと過ごす時間が唯一の心休まるとき。母の生き方に不満を感じている長女マルチェッラは裕福な家の息子ジュリオからプロポーズされ、彼の家族を貧しい我が家に招いて昼食会を開くことになる。そんなデリアのもとに1通の謎めいた手紙が届き、彼女は「まだ明日がある」と新たな旅立ちを決意する・・・
『ジョルダーニ家の人々』 (10)や『これが私の人生設計』 (14)などシリアスドラマから大衆的なコメディまで幅広いジャンルの映画に出演し、イタリアの国民的コメディエンヌ兼女優として活躍するパオラ・コルテッレージが、本作でついに映画監督デビュー。 愛する娘の将来と夫の暴力に悩む主婦・デリアをパオラ・コルテッレージ自身が演じています。
夫イヴァーノが朝起きるなり妻デリアを殴る姿に、まずびっくり。美しい長女のマルチェッラは、中学に行きたかったのに、「専門学校で手に職つけさせた」と父親。裕福な家の息子ジュリオからプロポーズされ、幸せいっぱいだったのですが、結婚したら働くのを許さないという本音を聞いて、ちょっとがっかりします。戦後間もない1946年といえば、日本も同じような家父長的な社会でしたね。
そして、敗戦したイタリアには、米軍が進駐しているのも日本と同じ。黒人兵の家族の写真をデリアが拾ってあげたお礼にチョコレートを2枚貰います。(私の母も、戦後、神戸の居留地近くで働いていて、お使いに行った先のアメリカ人からチョコレートを2枚貰ったと言っていたのを思い出しました)
デリアは、帰り道に自動車工のニーノのところに寄って、二人でチョコレートを食べます。「一瞬の隙にヤツに君を奪われた」とニノは語っていて、今もデリアに気がありそう。そんなニノも、もうすぐ町を離れると言います。そんな時に届いた1通の手紙・・・ いつもツギハギのブラウスを着ているデリアが、新しいブラウスを縫って、手紙と一緒にバッグにしまいます。そして、日曜日・・・
このあと、驚きのラスト!
もう、ほんとに驚きました。 ぜひ劇場で確かめてください。
男性優位の社会の中で、女性たちが自分の権利を求めようとする姿をユーモアも交えて見事に描いた1作です。(咲)
2023年/イタリア/118分
日本語字幕:岡本太郎
特別協力:イタリア文化会館
配給:スモモ
公式サイト:https://www.sumomo-inc.com/domani/
★2025年3月14日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開
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