監督・脚本・編集:串田壮史『写真の女』
出演:毎熊克哉(蝶野穂積)、大西礼芳(平沢千歌子)、岩田奏(野島一晟)、鯉沼トキ 森啓一朗 柾賢志 永井秀樹 石井そら 中村天音 大滝樹 村田凪 高見澤咲
子役俳優の野島一晟(いっせい)はオーディションに応募したが、うまくいかなかった。学校の帰り道、古い工場の入り口に「初級演技レッスン」という看板を見つける。気になって中を覗くと黒づくめの男が一人いた。講師の蝶野だという。これまでの演技指導とは違うレッスンが始まった。
一晟の担任教師の平沢千歌子も蝶野のもとにやってくる。学校で「演劇教育の必須科目化」の是非に回答しなければならなかった。一晟と同じく想像とは違うレッスンを受ける。蝶野に出逢った2人は奇妙な体験をすることになった。
演技レッスンに来る一晟と千歌子、指導をする蝶野、3人の過去と今が細かく編集されています。レッスン中にどんどん自分の記憶の中に降りて行って、ふたをしていた本音に向き合います。説明はもちろんセリフも多くなく、たまに劇伴のピアノとセリフがかぶったりもしますが、セリフよりも映像、絵が語る作品でした。
劇中に荘子の「胡蝶の夢」の文庫本が登場します。夢からさめたと思っている今は胡蝶が見ている夢なのでは、という話です。この作品も記憶と現実を行き来してちょっと混乱するかもしれません。父と子、母と子の話でもあります。
イギリスで映画作りを学んだ串田監督は、音声を同時録音せずアフレコだったそうです。環境音を気にせず演技に没入できたのではないでしょうか。
毎熊克哉さんには5年前『いざなぎ暮れた。』でお話を伺ったことがあります(こちら)。ダンスの話題が出ていつか観たいと思っていたのです。今回終盤に登場する4人が楽し気に踊る場面がありました。長髪にロングコートといういでたちで軽やかに踏むステップに注目。(白)
●ユーロスペースでの初日舞台挨拶ノーカット版はこちら
2024年/日本/カラー/ビスタ/90分
配給:インターフィルム
(C)2024 埼玉県/SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ
https://act-for-begi.com/top
★2025年2月22日(土)よりユーロスペースほか全国順次ロードショー
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