2025年01月31日

ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた(原題:Dreamin' Wild)

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監督・脚本:ビル・ポーラッド
撮影:アルノー・ポーティエ
音楽:ドニー・エマーソン
出演:ケイシー・アフレック(ドニー)、ノア・ジュプ(青年期のドニー)、ゾーイ・デシャネル(ナンシー)、ウォルトン・ゴギンズ(ジョー)、ボー・ブリッジス(父 ドン)

1979年、ワシントン州の田舎町でレコーディングされた1枚のアルバム「Dreamin’ Wild」。10代だったドニーと兄ジョーはデュオを結成し、両親の全面的な応援を得て、農場に父が作ったスタジオでオリジナルの曲を生み出した。家族の期待と2人の夢をこめたアルバムを自主製作したが、名もないデュオのアルバムは世間からは見向きもされなかった。
それから約30年後のある日、レコード会社からの突然の連絡がある。コレクターに発見されたアルバムがブログで拡散、絶賛されていることを知った。思いがけず脚光を浴びて家族は手放しで喜ぶが、これまで負い目を感じて来たドニーは過去と向き合うことになる。

兄弟デュオ”Donnie & Joe Emerson”の実話を元にした作品。都会へ一人打って出るドニーでしたが音楽業界へのなんのつてもなく、夢破れ故郷へ舞い戻りました。2人のために父は広かった農場を抵当に入れ、次々と手放してしまいました。兄のジョーはすっかり小さくなってしまった父の農場のあとを継いでいます。ドニーは結婚して家庭を持ち、仕事の傍ら妻ナンシーや友人と細々とバンド活動を続けてきました。降ってわいたデビューアルバムの再評価に、揺れるドニーの心情を丁寧に描いています。
若いころがフラッシュバックで挿入されて、多くの若者たちも辿っただろう道が見えてきます。ただただ、息子たちの夢を後押しする父や母の信頼と愛情があるばかり。ドニーは音楽に打ち込むあまり、周りが見えず視界が狭くなっていた自分、挫折した今も好きな音楽にこだわっている自分にいまさらながら気づきます。
ドニーを『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(2016)で主演男優賞に輝いたケイシー・アフレック。兄のベン・アフレックと同じように監督にも進出しています。青年期を『ハニー・ボーイ』(2019)のノア・ジュプ。クルクル髪の子役でしたが、可愛いまま大きくなってこの25日に20歳になります。
アリエル・ピンクがカバーし、ユニクロがジーンズのCMに”Baby”を使って世界中に広まったそうです。再発売されたアルバムは今日本では品切れのようですが、検索すると聞くことができます。(白)


息子たちを信じて、土地まで手放して投資したお父さん。レコードを作った当初にはまったく売れなかったのに、30年後に突然発掘されるという奇跡! 映画の最後に実在のドニーとジョーや、ドニーの奥さまナンシーが演奏する姿が出てきます。そして、それを見守る両親も! 嬉しそうな笑顔に、これは家族の物語と、ほっこりさせられました。(咲)

2022年/アメリカ/カラー/111分
配給:SANDAE
(C)2022 Fruitland, LLC. All rights reserved.
https://sundae-films.com/dreamin-wild/
★2025年1月31日(金)よりTOHOシネマズシャンテ、kino cinema新宿ほか全国順次公開中
posted by shiraishi at 15:10| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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