2024年12月26日

占領都市  原題:OCCUPIED CITY

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(c) 2023 De Bezette Stad BV and Occupied City Ltd. All Rights Reserved.

監督:スティーヴ・マックイーン(『それでも夜は明ける』)
原作:ビアンカ・スティグター「Atlas of an Occupied City (Amsterdam 1940-1945)」 
製作総指揮:ダニエル・バトセク、ベン・コレン、オリー・マッデン、ヤリフ・ミルチャ、マイケル・シェイファー 
製作:フロア・オンラスト、アンナ・スミス=テンサー 
撮影:レナート・ヒレッジ 
編集:ザンダー・ナイステン 
録音:ヨス・テン・クロスター 
整音:ヤン・シェルマー ナレーション:メラニー・ハイアムズ 
音楽:オリバー・コーツ(『aftersun/アフターサン』)
ナレーション:メラニー・ハイアムズ

オランダの首都アムステルダム。運河が流れる「水の都」として知られる風光明媚なこの街には、第二次世界大戦中の1940年5月から5年間、ナチス・ドイツの占領下におかれた恐怖の記憶がある。人々は人権や言論の自由を奪われ、ユダヤ人を中心に多くの犠牲者が出た。「アンネの日記」で有名なアンネ・フランクのように強制収容所へ移送された人は10万7千人。統計では、その内の実に10万2千人が虐殺されたとされている。
「二度とこうした歴史を繰り返さないために」と映画化を構想したのは『それでも夜は明ける』でアカデミー賞(R)作品賞・助演女優賞・脚色賞の3部門を受賞した英国出身の映画監督スティーヴ・マックイーン。製作はA24、歴史家で妻のビアンカ・スティグターが2019年に著した「Atlas of an Occupied City (Amsterdam 1940-1945)」を原作とし、4時間11分の大作ドキュメンタリーとして完成させた。
アムステルダムを第二の故郷として暮らすマックイーンが目指したのは、単なる知識や情報としてではなく、場所をして語らしめ、当時の記憶を鮮烈に蘇らせるような映画。アーカイブ映像の使用やインタビューによる回想はあえて使わず、35mmフィルムで130ヶ所にも及ぶ「現場」を正確に捉えることで、計り知れぬ恐怖の日々を体感させる。

映し出されるのは、2020年のコロナ禍のアムステルダム。通りから人の消えた町。それは、ナチスの支配下となって、人々が凍りついた町を彷彿させてくれます。それでも、緑豊かな運河の町には、時折、子どもたちの遊ぶ姿もあって平穏そのもの。
ナレーションを担当したメラニー・ハイアムズが、沈着冷静に、映し出される場所で、80年以上前に何があったかを具体的に語ります。
ユダヤ人を匿った人が公開処刑される様子を、無理やり庶民に見せた広場。教会の鐘のほとんどが溶かして武器にするために没収されたこと。父親が非ユダヤ人で、ユダヤの母親との間に生まれたカルマイヤー印(部分的ユダヤ人)の娘たちが、スカートをたくしあげて歩かされ、ユダヤ人の脚かどうか確認させられたこと。
異民族と結婚したユダヤ女性が不妊手術をさせられた病院跡・・・
ユダヤ人だけでなく、ロマや共産主義者、フリーメイソン、エホバの証人、同性愛者なども粛清の対象だった当時のアムステルダム。残忍な出来事も淡々と語られて、逆にぐっさりと心に響きました。
それでも最後には、新しく美しいシナゴーグで、バル・ミツバ(成人式)の練習をしていたユダヤ人の少年たちが、ドアから飛び出してきて、明るい希望を感じさせてくれました。(咲)



2023年/イギリス、オランダ、アメリカ /英語(一部オランダ語)/251分/スタンダード/カラー/5.1ch/G
日本語字幕:松田千絵
提供:TBSテレビ 
配給:トランスフォーマー、TBSテレビ
公式サイト:https://www.transformer.co.jp/m/senryotoshi/
★2024年12月27日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷&有楽町ほか全国ロードショー




posted by sakiko at 10:10| Comment(0) | オランダ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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