2024年12月22日
ブルースの魂 原題:LE BLUES ENTRE LES DENTS 英題:THE BLUES UNDER THE SKIN
2024.12.28(土)新宿K’s cinema、UPLINK吉祥寺他にて 全国順次公開
上映情報
B.B.キング生誕100周年記念公開 2022年デジタル修復版
制作から50年を経て、アメリカで、そして日本で初の劇場公開
2022年デジタル修復版
監督・脚本:ロバート・マンスーリス
字幕:福永詩乃
出演ミュージシャン:B.B.キング バディ・ガイ ジュニア・ウェルズ ルーズヴェルト・サイクス ロバート・ピート・ウィリアムズ マンス・リプスカム ブッカ・ホワイト ソニー・テリー ブラウニー・マギー ファリー・ルイス ジミー・ストリーター
出演俳優:ローランド・サンチェス オニケ・リー アメリア・コルテス ウィリアム・L・エヴァンス
人生の苦しみに痛む魂の回復力 ブルースの核心が浮かび上がる。
伝説的なブルース・ミュージシャンたちの衝撃的なパフォーマンスと、
ハーレムに住む若いカップルの愛と苦闘
ブルースは19世紀後半ごろアメリカ南部で、アフリカ系アメリカ人の間から発生した音楽。悲しみ・憂鬱の感情が英語では「ブルー(blue)」の色でたとえられることに由来している。黒人霊歌、フィールドハラー (農作業時の叫び声)や、ワーク・ソング(労働歌)などから発展したといわれている。アコースティックギターの弾き語りを基本としたのがデルタ・ブルースと言われている。悲しみ・憂鬱の感情が英語では「ブルー(blue)」の色でたとえられることに由来。
音楽ドキュメンタリー作家ロバート・マンスーリスが、下火になっていたアメリカン・ブルースの名残をフィルムに収めようと、1970年代初頭、本物のデルタ・ブルースを求めてミシシッピ・デルタを旅したドキュメンタリー。B.B.キングをはじめとする伝説的なミュージシャンたちにインタビューを行い、演奏に密着し撮影した。目的は音楽を記録するだけでなく、ブルースをこれほどまでに表現豊かで心揺さぶる音楽にしている文化的・政治的要因を探ることだった。
合間に、ハーレムに住む若いカップル(ローランド・サンチェスとオニケ・リー)の波乱含みの関係をドラマチックに描き、貧困や偏見との闘いを表している、ドキュメンタリーとフィクションの境界線を曖昧にして、見るものをブルースの核心へと誘っている。
フレディ(ローランド・サンチェス)は子供のころ、生活のためノースカロライナ州から母親に連れられてニューヨークにきた。しかし、武装強盗の罪で5年間服役、出所後ハティ(オニケ・リー)と結婚し二人で母親の家に居候している。刑務所内の病院で働いた経験を生かして看護助手をやろうと職探しをするがうまくいかない。ハティに金を無心してはビリヤード場に出入りし鬱とした日々を過ごしている。そんなフレディに嫌気がしたハティは、仕事帰りに立ち寄るなじみのバーでブルースを歌う男と駆け落ちを図るが、うまくいかない。
監督:ロバート・マンスーリス紹介 HPより
ギリシャからスイスに亡命
1929年にギリシャのコモティニで生まれたロビロス・マンソウリス(ロバート・マンス―リス)は、ドイツ軍の占領に対するレジスタンスに参加した。戦後アメリカのシラキュース大学で映画製作を学んだ後、一時ギリシャに戻るが、1966年に監督した『Face to Face(英題)』が軍事独裁政権との間で問題となり、スイスのジュネーブに亡命。そして1968年ころ、マンスーリスは『A l’Affiche du Monde(世界のポスター)』というTVポップ・ミュージック・シリーズのエピソードを監督するため、パリに招かれる。
ビートルズやローリング・ストーンズも
マンスーリスは、ザ・ビートルズ、ザ・ローリング・ストーンズ、ジャック・ブレル、ジョーン・バエズ、サン・ラ、リッチー・ヘヴンズ、カレン・ダルトン、ブッカー・T・&・ザ・MGsといった影響力のあるミュージシャンたちを撮影し、高い評価を得ることができた。
ブルースを題材にした最初の映画
マンスーリスと彼のクルーは街から街へと飛び回り、テキサスでは刑務所の作業員、メンフィスではファーリー・ルイス、バトンルージュではロバート・ピート・ウィリアムズ、ニューオーリンズではルーズヴェルト・サイクスを撮影することができた。マンスーリスは当初から、このプロジェクトを単なるテレビドキュメンタリーのシリーズ以上のものにしたいと考えていた。
「自分の人生を演じる人たちを登場させる映画も作りたいと思っていた。まだパリにいた頃、『ブルースの魂』の準備のために、ハーレムの黒人たちの精神分析的な事例を集めた本を読んだ。そして、ブルースの本当の物語は人生経験であることに気づいた。つまり、ブルースの言葉とその背後にある感情に命を与えなければならない。私はブルースの歌のようなシンプルな物語を書き、それを撮影することに成功した」。
半世紀を経ての公開
『ブルースの魂』はアメリカでは完成から50年経った現在までほとんど上映されなかったが、2024年7月正式な米国初公開が今回の2Kレストア版でついになされた。
マンスーリスは2022年4月21日パリで亡くなった。享年92歳。
今から60年も前の中学生のころ、アメリカの人種差別の問題に興味を持ち、そして、黒人差別に関する本を読み、黒人たちの音楽にも興味が広がり、黒人霊歌や黒人たちが歌うブルースなどにも聴くようになった。あの頃は中学生だったし、レコードプレイヤーも持っていなかったので、もっぱらラジオから流れる歌を聴いていたから、名前は聞いたことがあっても顔は知らなかった。その後フォークソングにも興味が広がったけど事情は同じ。よほど有名で、TVや本に出てくる人以外は、相変わらず聴いたことはあっても顔は知らなかった。だから、最近になって、あの頃の音楽ドキュメンタリー映画が公開されるようになって、あの歌を歌っていた人はこんな顔の人だったんだと思うことも多い。この映画でもたくさんのミュージシャンが出て来て歌っているが、歌は聴いたことがあるような気がするが、ここに出てきた人で名前を知っているのはB.Bキングくらい。でも、タイトル通り、「魂」を感じさせるものだった。監督が製作したドキュメンタリーの中にジョーン・バエズの名前があったがぜひ観てみたい。私にとってはボブ・ディランより評価があってもいいと思っている人。彼女の生き方に影響を受けた(暁)。
予告編
公式HP
1973年(2022年2K修復版)/フランス/英語/88分/1:1.33/
配給:オンリー・ハーツ 協力:ブルース&ソウル・レコーズ
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