2024年12月07日

不思議の国のシドニ   原題:Sidonie au Japon 英題:Sidonie in Japan

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(C)2023 10:15! PRODUCTIONS / LUPA FILM / BOX PRODUCTIONS / FILM IN EVOLUTION / FOURIER FILMS / MIKINO / LES FILMS DU CAMELIA

監督:エリーズ・ジラール
出演:イザベル・ユペール 伊原剛志 アウグスト・ディール

パリで暮らすフランスの女性作家シドニ。日本で、デビュー小説「影」の翻訳本が再販されることになり、出版社から招聘される。見知らぬ国へ行くことに不安を覚えながら、大阪に降り立つ。空港で編集者の溝口が迎える。フランスに3年留学し、フランス文学を学んだ溝口は、寡黙ながらフランス語で話してくれる。
ホテルの部屋に入り、窓を開けようとするが開かない。フロントに電話すると、「事故防止で開かない」と言われる。取材を受けて部屋に戻るとなぜか窓が開いている。眠れなくて、ホテルのバーに下りるとき、エレベーターに亡き夫の姿をみる。京都、奈良へと、読者とのサイン会をしながら、日本の桜の季節を愛でるシドニ。夫も、移動先の宿に現れる・・・

取材を受ける中で、シドニが小説を書くきっかけになったのが、交通事故で両親と弟を一機に亡くしたことだったとわかります。そして、夫も車の事故で亡くし、同乗していた自分が無傷だったことに傷心のシドニ。日本に来ても、心ここにあらずのシドニが、溝口と話すことで、溝口もまた、自分が生きていることの奇跡を抱えていることを知って、次第に生きる希望を取り戻していきます。身近な人を突然失ったことから立ち直るのは容易なことではありません。でも、残された者は、生きていくことが、亡くなった人への恩だとつくづく思います。
東京国際映画祭の特別招待作品として上映され、来日したエリーズ・ジラール監督は、長編デビュー作『ベルヴィル・トーキョー』のプロモーションで来日した時に、日本に恋したことが、この作品を生んだと語っていました。
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東京国際映画祭上映後Q&A報告
桜が満開の美しい季節の京都、しっとりと落ち着いた奈良、モダンアートで脚光を浴びている直島・・・ そして、ホテルや旅館、料亭などにも、日本の奥ゆかしい魅力が溢れています。谷崎潤一郎夫妻のお墓に刻まれた「寂」の文字もまた、日本の美。フランスの女性監督が捉えた日本の情緒に浸ることができました。(咲)


2023年/フランス・ドイツ・スイス・日本/96分/カラー/ビスタ/5.1ch
配給:ギャガ
公式サイト:https://gaga.ne.jp/sidonie/
★2024年12月13日(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国にて順次公開
posted by sakiko at 20:38| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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