監督:湯浅典子
脚本:西貴人、湯浅典子
撮影:ビクター・カタラ
音楽:ジョアン・ピラ
出演:関幸治(横谷)、一木香乃(鷲津カオル)、新津ちせ(鷲津薫)、黒沢あすか(向島貴子)、原田大二郎(住職)
カオルという名の脚本家が死んだ。
彼女が残した遺言には、10年前に離婚した元夫・横谷がカオルの葬式の喪主になるようにと、記されていた。
横谷が東京からカオルの故郷・岡山に到着すると、そこに居たのはカオルが遺した9才の一人娘・薫。カオルの通夜、葬儀に集まる様々な人々。脚本家であった彼女のマネージャー、ドラマプロデューサーや先輩や親友や、葬儀を取り仕切る婦人会、地主一家など腹にイチモツありそうな故郷の人々――
一人の女性の葬儀に集まった人々の姿を通して「死ぬことは、生きること」を問うています。岡山県北・苫田郡鏡野町にある宝樹寺を葬儀のメイン舞台に、ほかの撮影地は、蒜山高原(真庭市)、美作河井駅(津山市)、笠岡諸島・瀬戸内海(笠岡市)、岡山市、茨城県水戸市、笠間市、そして東京。
この作品では、離婚した夫が喪主になります。これまで行き来がなかったのに疑問に思いながら、元妻の故郷へ向かいます。監督の知人のエピソードを元にしたそうですが、そういうとき断わらずに引き受けるものなんでしょうか。その地方によって葬儀のやり方が少しずつ違うのも興味深いです。
カオルと様々な形で関わった人たちは、もう答えのもらえない問いをしてみたり、胸の中にあった想いがこぼれて出たりします。葬儀にありがちなちょっとした騒動もはさみ、弔問客はまた日常に戻って、自分たちも終わりが来るまで生き続けます。
葬儀は人生最後の一大イベント、もう不在の主役について生前より活発に語られます。「生前葬」を行う方がいるのは、その顛末を見てみたいのと、きちんと別れを言いたいからでしょうか。ちょっとわかる気がします。後に残る人に任せるしかありませんが、自分事として葬儀を考えてしまいました。(白)
☆第19回大阪アジアン映画祭にてJAPAN CUTS Awardを受賞
2023年/日本・スペイン・シンガポール共同制作/カラー/100分
配給・宣伝:ムービー・アクト・プロジェクト
(C)PKFP PARTNERS
https://yuasan1203.wixsite.com/pkfppartners
★2024年11月29日(金)ほか全国ロードショー中
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