2024年11月23日

海の沈黙

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原作・脚本:倉本聰
監督:若松節朗
製作:曵地克之
プロデューサー:佐藤龍春
製作会社:インナップ
出演:本木雅弘(津山竜次)、小泉今日子(田村安奈)、清水美砂(牡丹)、仲村トオル(清家)、菅野恵(あざみ)、石坂浩二(田村修三)、萩原聖人(村岡)、村田雄浩(半沢院長)、佐野史郎(桐谷大臣)、田中健、三船美佳、津嘉山正種、中井貴一(スイケン)

世界的な画家田村修三の展覧会で贋作が発見された。主催者は隠蔽しようとするが、田村本人がその絵を観たとたん、自分の絵ではないと気づき、会見を開いて報道は加熱する。贋作を保有していた美術館の村岡館長は「この絵に心底ほれ込んでいた」と遺書を残して自殺した。田村の妻の安奈は命を絶つ前の村岡に会っており、衝撃は大きい。出向いた葬儀で、知人の中央美術館の清家館長に再会する。
清家は田村の要請で贋作を調べていた。海外で発見された完成度の高い贋作と、今回の贋作は同じ者の筆によるらしい。安奈は清家からかつての恋人だった画家・津山竜次の消息を知る。新進気鋭の天才画家と呼ばれていた竜次は、あることで画壇から姿を消していた。もう会うことはないと思っていた彼を訪ねて小樽に向かう。数十年ぶりに再会した津山は重い病に蝕まれていた。

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脚本家・倉本聰氏、構想 60 年の映画作品です。テレビ、映画、舞台、書籍と多岐にわたる分野で名を成してきた倉本氏が、「どうしても書いておきたかった」と『海へ 〜See you〜』以来、36年ぶりに書き上げた映画脚本が本作。
「60 年前から抱えこんできた僕にとっての大きなテーマが、美術品の贋作」。かつて重要文化財とされていた陶芸作品が、贋作と判明して認定を取り消された事件があり、1960年「永仁の壺 異聞」というラジオドラマを執筆しています。もう一件、洋画家中川一政が師の岡本一平の絵を塗りつぶして自作を描いた事件もあったそうです。
絵画の価値や画家の創作意欲について倉本氏がずっと考えてきたことを、本木雅弘さん演じる津山竜次が渾身で体現しています。ほとばしるような勢いの絵と向き合う竜次の姿は、このために命が削られてきたのではと思うほど気迫に満ちています。激しい生き様の中で、ずっと抱いてきた安奈への想いは少しも減ずることはありませんでした。消えて行く間際に再会できてよかった!とこちらも安堵してしまいます。小泉今日子さんのまなざしに、大人の「恋」とは違う「情」が見えるようでした。飄々とした謎の人物「スイケン」役の中井貴一さんがまた良いです。
北海道・小樽の街並みや海の風景もお楽しみください。(白)


2024年/日本/カラー/112分
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
©2024 映画『海の沈黙』INUP CO.,LTD
公式 HP https://happinet-phantom.com/uminochinmoku/
公式 X @uminochinmoku #海の沈黙
★2024年11月22日(金)より全国公開中


posted by shiraishi at 10:36| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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