2024年11月14日

特集企画「ベット・ゴードン エンプティ ニューヨーク」『ヴァラエティ』『エンプティ・スーツケース』『エニバディズ・ウーマン』

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米国インディペンデント映画の先駆者の一人、ベット・ゴードン。1970年代末から80年代にニューヨークのアンダーグラウンドで起こった音楽やアートのムーブメント「ノー・ウェイヴ」周辺で活動した映画作家であり、「セクシュアリティ」「欲望」「権力」をテーマにした大胆な探求と創作を行っている。
この度、長編第一作『ヴァラエティ』に併せて、中編『エンプティ・スーツケース』と短編『エニバディズ・ウーマン』が一挙劇場公開されます。

公式サイト:https://punkte00.com/gordon-newyork/
★2024年11月16日(土)、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開


ベット・ゴードン
BETTE GORDON
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1950年6月22日生まれ。ウィスコンシン大学マディソン校にて学士号、修士号、芸術修士号を取得。1970年代に実験映画の制作を開始。初期の作品はマイケル・スノウなどの映画作家による「構造映画」に触発されたもので、ジェームズ・ベニングと共同制作がなされた。1970年代末からニューヨークで活動。前衛映画の拠点であった「Collective for Living Cinema」で働きつつ、アンダーグラウンドで起こった音楽やアートのムーブメント「ノー・ウェイヴ」周辺で活動。セクシュアリティ、欲望、権力をテーマに大胆な探求と創作を行う。長編第一作『ヴァラエティ』(1983) は、カンヌ国際映画祭「監督週間」で上映された。いくつかの監督作品は、ホイットニー美術館、ポンピドゥー・センター、ベルギー王立映画アーカイブ、英国映画協会、MoMA、アンソロジー・フィルム・アーカイブスの常設コレクションに収蔵されており、米国のインディペンデント映画の先駆者として再評価が進んでいる。現在、コロンビア大学芸術学部映画学科で教鞭を取っている。



『ヴァラエティ』 原題:Variety  ★国内劇場初公開
監督・原案:ベット・ゴードン
脚本:キャシー・アッカー(『血みどろ贓物ハイスクール』)
製作:ルネ・シャフランスキー
撮影:トム・ディチロ、ジョン・フォスター
編集:イラ・フォン・ハスペルク
音楽:ジョン・ルーリー
出演:サンディ・マクロード、ウィル・パットン、リチャード・デヴィッドソン、ルイス・ガスマン、ナン・ゴールディン、クッキー・ミューラー
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なかなか思うような仕事につけないクリスティーン(サンディ・マクロード)。タイムズ・スクエア近くのポルノ映画館「Variety」のチケット売りの仕事につく。2ドルの入場料を払って中に入っていく男たち。ある日の休憩時間、自動販売機で購入したコーラをこぼしてしまう。身なりのいい紳士ルイがコーラを差し出してくれる。食事に誘われ、次には野球観戦に誘われる。ヤンキースタジアムで観戦している途中で、ルイは「急用が出来た、先に帰るが迎えの車を回す」と言って出ていく。クリスティーンはルイの後をつけていく。
魚市場やゲームコーナー・・・ 何やら取引しているらしいルイ。モーテルの隣の部屋に泊まり、不在中に鞄の中を探る・・・

クリスティーンは地方からNYに出てきた若い女性。女友達との会話で、写真家になりたいこと、教職の資格を持っていてもNYでは無効、思うような仕事につけないことが語られます。そんな中で得たのが、ポルノ映画館の窓口。時々垣間見るポルノ映画や、映画を観る男たちの生態・・・ 
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やがて親しくなった紳士ルイの行動を追うクリスティーン。怖いもの知らずで追うクリスティーンに、ドキドキさせられました。さて、ルイの正体は? (咲)


1983年/米国/100分/2K修復
ベット・ゴードン監修によるオリジナルネガをもとにした2K修復版
日本語字幕:西山敦子


『エンプティ・スーツケース』 原題:Empty Suitcases  ★国内劇場初公開
監督:ベット・ゴードン
撮影補:デヴィッド・ワーナー/録音補:ヘレン・カプラン/脚本補:カリン・ケイ
出演:ローズマリー・ホックシールド、ロン・ヴォーター、ヴィヴィアン・ディック、ナン・ゴールディン、ヤニカ・ヨーダー、ジェイミー・マクブレイディ、ベット・ゴードン/声:リン・ティルマン、カリン・ケイ、アネット・ブレインデル、ドロシー・ザイドマン、マーク・ブーン・ジュニア

職場のあるシカゴと恋人がいるニューヨーク。2つの都市を行き来する女性が抱える疎外感と孤立感が考察される実験的で闘争的な作品。国際映画祭などで上映され高い評価を得た。
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スーツケースに衣類などを詰める女性。もう一つのスーツケースは空のまま。遠距離恋愛で、ニューヨークとシカゴを行き来している。一方で、時限爆弾を作ることが並行して語られ、え? この映画はどこへ? (咲) 

1980/米国/52分
日本語字幕:西山敦子


『エニバディズ・ウーマン』原題:Anybody's Woman ★国内劇場初公開
監督:ベット・ゴードン
出演:ナンシー・レイリー、スポルディング・グレイ、マーク・ブーン・ジュニア、トム・ライト/ナレーション:カリン・ケイ

長編『ヴァラエティ』に先駆けて、ニューヨークのポルノ映画館「Variety」を舞台に作られた短編作品。タイトルは、サイレント期から活躍した女性映画監督ドロシー・アーズナーによる1930年製作の同名のハリウッド映画作品に由来する。
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長編『ヴァラエティ』に出てきたポルノ映画館「Variety」の前に止まった車から降りていた男性が女性にキスして、すぐまた車に戻って立ち去ります。印象的な始まり。
女性が家に帰り、電話が鳴り、受話器を取るといきなり卑猥な話をする男。また電話が鳴り、またかと思うと、今度は明日10時に劇場でとお誘い。
百万長者の男と億万長者の男。億万長者の男は、妻がさらに金持ちの男のもとへ行ってしまい、泥酔している。百万長者の男が換気しようと窓を開けると、窓際にスリップ姿で座る二人の女の会話が聞こえてくる・・・
翌日10時。劇場のカフェで、女が一方的に語るエロい話を黙ってきく男・・・
なんとも大胆な24分! (咲)


1981年/米国/24分 
日本語字幕:西山敦子


posted by sakiko at 15:17| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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