2024年11月07日

ベルナデット 最強のファーストレディ(原題:Bernadette)

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監督:レア・ドムナック
脚本:レア・ドムナック、クレマンス・ダルジャン
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ(ベルナデット・シラク)、ドゥニ・ポダリデス(ベルナール・ニケ)、ミシェル・ヴュイエルモーズ(ジャック・シラク)、サラ・ジロドー (クロード・シラク)

ベルナデット・シラクは、夫ジャック・シラクを大統領にするため、常に影で働いてきた。ようやく大統領府であるエリゼ宮に到着し、自分の働きに見合う場所を得られると思っていたが、夫やその側近、そして夫の広報アシスタントを務める娘からも「時代遅れ」「メディアに向いていない」と突き放されてしまう。だが、このままでは終われない。参謀の”ミッケー”ことベルナール・ニケと共に、「メディアの最重要人物になる」という、華麗にして唯一無二の”復讐計画”をスタートさせる!

政界の内側をとくと観られる作品です。ジャック・シラク氏は1977年から1995年までパリ市長、1995年から2007年まで第22代フランス大統領。ミッテラン大統領に次いで長い在任期間です。大統領になる前には首相や重要ポストの大臣もつとめているので、妻としての苦労や気遣いも並大抵ではなかったでしょう。自分も県会議員ですし。
実在の政治家たちのエピソードのどこまでが真実か不明ですが、コメディ仕立てになっていることでとても入り込みやすく楽しめます。
若いとき細身で可憐だったカトリーヌ・ドヌーヴは二回りほど大きくなって、政界トップの夫人だけに収まらない、パワフルな女性にふさわしい貫禄がありました。娘や側近に仲間外れにされても腐らず、良き相棒を得て自分の道を切り開いてゆきます。頑張れ~!と応援したくなりました。ベルナデッドが着こなす衣装も見どころです。
フィガロ誌の記者のロングインタビューを元にした「私はただあるがままに」(1995年)がシラク夫妻の2005年の来日記念に翻訳出版されました。ご本人の生い立ちから詳しく書かれていますので、映画鑑賞後にどうぞ。(白)


実在の人物をもとに描いた映画では、映画の最後に本物の姿が紹介されることが多いのですが、本作では、冒頭で本物のベルナデットの写真や動画が映し出されます。
1933年生まれ。ベルナデットとジャック・シラクのパリ政治学院学生証が続けて出てきて、同級生だったことがわかります。そして、「貴族令嬢と教師の孫息子結婚」の大きな写真入り新聞記事。女性初のコレーズ県議となったことも紹介され、女性が夫の添え物のように扱われた時代に、単にパリ市長夫人、大統領夫人に収まらなかったことも冒頭の数分でわかります。
それでも本作は「あくまでフィクション」の断り書き。
そうして始まるカトリーヌ・ドヌーヴ演じるベルナデットの物語。
本作が初長編監督デビューとなるレア・ドムナックが、女性らしい細やかな目線で、ベルナデットを公私の両面から捉えています。ユーモアのセンスも抜群。なんとか選挙で勝ちたい政治家たちが水面下で繰り広げる丁丁発止も見事に描いています。(咲)



2023年/フランス/カラー/93分
字幕:横井和子
配給:ファインフィルムズ
公式サイト:https://bernadette-movie.com/
© 2023 Karé Productions - France 3 Cinéma - Marvelous Productions - Umedia
★2024年11月8日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー

2024 年 セザール賞 新人作品賞ノミネート
2024 年 リュミエール賞 新人作品賞・主演女優賞ノミネート
2023 年 シネマニア・フィルム・フェスティバル出品
2023 年 紅海国際映画祭(RSFF) INTERNATIONAL SPECTACULAR 部門出品

posted by shiraishi at 19:47| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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