2024年10月29日

オン・ザ・ロード~不屈の男 金大中~  英題:Kim Dae Jung on the road 原題:길위에 김대중

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監督:ミン・ファンギ
【日本編集版】 
ナレーション:ソウジ・アライ
編集:平野一樹 制作:スモモ
製作:ミョンフィルム、シネマ6411

民主主義と平和の実現にすべてを懸けた政治家・金大中
拉致、軟禁、投獄、死刑判決、幾多の困難にその道を阻まれても
決してあきらめなかった金大中を突き動かしたものとは-


生誕100周年を迎えた、元韓国大統領・金大中(キム・デジュン)の生涯と政治家人生を本人の肉声や関係者のインタビュー、そして本邦初公開の映像を含む6,000時間に及ぶ膨大な映像資料を基に制作されたドキュメンタリー映画。

日本の植民地時代に全羅南道に生まれ、海運会社を経営する青年実業家となるも、朝鮮戦争を経て、政治家を志す。「落選専門家」と言われるほど選挙では負け続け、軍事政権下で何度も死の危険にさらされながらも信念を貫いた金大中。
個人の勇気と信念が、いかに国家の未来を変えうるのか・・・
本作は、元韓国大統領 金大中が駆け抜けた1924年から1987年までの激動の記録。

1973年8月に、九段下のグランドパレスホテルで白昼堂々、拉致するという「金大中事件」で、一躍、日本でも名を知られることになった金大中氏。 あの頃は、私もまだ若くて、拉致事件の背景を考えることもなかったのですが、今となれば、そこまでして政敵を消したかったのは、いかに軍事政権が、彼の民衆に与える力を知っていたからだと思い至ります。
拉致、監禁、軟禁、死刑判決・・・と、散々な目にあっても、真の民主主義を追い求めた金大中氏。光州の人たちが熱狂的に彼を迎えた場面には、胸が熱くなりました。もちろん、その後に起こった光州事件を知っているからこそ。
「恨(ハン)を手放しましょう」と民衆に語る金大中氏。折しも、先日公開された『私は憎まない』でも、イスラエルから散々な目にあわされたガザのパレスチナ人の医師アブラエーシュ博士も、憎むことを忘れましょうと語っていて、偉人とは、そういう胸中になれる人なのだとつくづく思います。
本作では、獄中の金大中氏に毎日のように手紙を送り続けた奥様である李姫鎬(イ・ヒホ)さんのことも印象に残りました。金大中氏の最初の奥様は二人の息子を遺して先立たれ、李姫鎬さんは女性の権利向上などの社会運動をする中で金大中氏と知り合い結婚。献身的に金大中氏を支える姿が素晴らしいです。 
本作が描くのは、1987年までですが、その後、1998年に第15代韓国大統領になられた金大中氏を知っているからこそ、長く辛い苦難の時代を映画で振り返る意味は大きいと思います。(咲)


2024年/韓国/129分/カラー・B&W/DCP
配給:スモモ
公式サイト:https://www.sumomo-inc.com/ontheroad
★2024年11月1日(金)より ポレポレ東中野ほか全国順次公開




posted by sakiko at 04:28| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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