2024年10月22日

ガザからの報告

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C)DOI Toshikuni 2024

監督・撮影・編集・政策:土井敏邦(『沈黙を破る』『愛国の告白』
整音:川久保直貴 デザイン:野田雅也・尾尻弘一 ウェブ広報:ハディ・ハーニ


第一部「ある家族の25年」(120分)
. 故郷を追われ、ガザ最大の難民キャンプ「ジャバリア」で暮らすエルアクラ家。土井敏邦は1993年9月の「オスロ合意」直後から住み込みで取材を開始した。職につけず、結婚もままならない息子たち。家族と共に故郷へ戻れる日を待ち続けている父。イスラエル軍の撤退、解放、パレスチナ自治政府の誕生――。「和平」ムードに人々が歓喜する一方で、父は「これは本当の和平ではない」と怒り、故郷への帰還を諦めて家の増築を始める。パレスチナ初の選挙が行われ、インフラが整備されたガザで、エルアクラ家の息子たちは仕事と家庭を持ち、新たな生活を送っていた。しかし自治政府の独裁・強権政治と腐敗が深刻化し…。25年の歳月をかけエクアクラ家の人々の人生をみつめた本作はガザ住民にとって「オスロ合意」とは何だったのかを問い、「ガザのパレスチナ人」と一括りにされる彼らが私たちと“同じ人間”であることを伝える。なお、エルアクラ家の人々は今回のイスラエルの軍事作戦により、消息が途絶え安否不明となっている。

第二部「民衆とハマス」(85分)
. イスラエル国家を認めず、全パレスチナの解放、難民の帰還を掲げるハマス。彼らは貧困に苦しむ家庭への食料配布や孤児の救済、女性の職業訓練、医療支援といった慈善事業と、 パレスチナ解放をめざす武装闘争の両面で民衆の支持を拡げてきた。2006年の選挙と、翌年の内戦の勝利によってハマスがガザ地区を実効支配するようになると、イスラエルは封鎖政策を強化。さらにはハマスの悪政も重なり、人びとはかつてない貧困に喘ぐことになる。絶望した住民たちの中にはイスラム教で禁止されている自殺に走る者、ガザ脱出を図る者まで続出していた。本作は後にイスラエルに暗殺されたハマスの指導者やスタッフ、戦闘員、そしてガザ住民へのインタビューを重ね、ハマスが民衆から乖離していったプロセスを追い、今のガザの惨状の根源を浮かび上がらせる。そして今回のガザ攻撃を受けた現地からの報告を元に、インフラも人間も、すべてが破壊されてしまった現在のガザの厳しい現状を伝える

2023年10月7日、ハマスによる越境攻撃をきっかけに始まったイスラエルによるガザ攻撃は、これまでにない激しさで1年を経過しました。
本作は、パレスチナ・ガザ取材歴30年の土井敏邦監督が、時系列でこれまでの経緯を追ったドキュメンタリー。これを見れば、イスラエルのガザ攻撃が昨年10月7日を機に始まったものでないこと、人気を誇ったアラファト議長と彼が率いるファタハも、政権を取る前には庶民に寄り添っていたハマスも、権力と金を手にすると、庶民をないがしろにしたことがよくわかります。
希望の灯りがまったく見えないガザの人たちのことを思うと、ほんとに胸が痛みます。すべては1948年のイスラエル建国に端を発しているけれど、パレスチナ自治政府がさらに庶民を苦しめたことを思うと、もう言葉もありません。
どんな結末を迎えるのか想像してみても、絶望的な事態しか思い浮かびません。悲しい・・・(咲)


2024年/日本/205分/ドキュメンタリー/Blu-ray
配給協力・宣伝:リガード
公式サイト:http://doi-toshikuni.net/j/gaza/#top
★2024年10月26日(土)よりK's Cinemaほか全国順次公開




posted by sakiko at 22:01| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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