2024年10月20日

恋するピアニスト フジコ・ヘミング

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監督・構成・編集:小松莊一良
撮影監督:藤本誠司
録音・整音:井筒康仁
出演・音楽:フジコ・ヘミング

スウェーデン人の画家で建築家の父のジョスタ・ゲオルギー・ヘミングと、ピアニスト・大月投網子の間に生まれる。5歳からピアノを始め、東京藝大を卒業後、28歳でドイツ留学、ヨーロッパでキャリアを積む。リサイタル直前に風邪をこじらせて聴力を失い、治療しながらピアノを弾き続けた。
1999年にNHKで放映されたドキュメンタリー「フジコ~あるピアニストの軌跡~」が大きな反響を呼ぶ。同年発売のファーストアルバム「奇跡のカンパネラ」が200万枚以上の売上げを記録、クラシック界では異例のことで注目を集めた。
2018年、小松莊一良監督のドキュメンタリー映画『フジコ・ヘミングの時間』が公開。ロングランヒットとなる。その後、90代に入っても精力的に演奏するフジコさんの飾らない姿を撮り続けた第2弾がこの作品。

2024年4月21日、フジコ・ヘミングさんが亡くなられました。享年92歳。私もフジコブームが起こったころ、初めて知りました。60代を過ぎて花開いた遅咲きのピアニストは、志半ばであきらめずに挑戦する人をどんなにか力づけたことでしょうか。
音楽には詳しくない私でも聞き覚えのある曲を楽しそうに弾く様子や、一風変わった衣裳に目がひきつけられました。着物をアレンジしたもので、スカーフは帯揚げ、髪飾りなどアクセサリーもフジコ流です。大好きなものを身にまとって、軽々と名曲の数々を披露するフジコさんはとても輝いています。
いくつになっても純粋な少女のような心を持っていたフジコさんが、大好きなパリで好きなものに囲まれて暮らした日々が残されています。たくさん描かれた絵も愛らしいです。あのお部屋がどこかに再現されていたら、ぜひお邪魔して一つ一つをゆっくり見せていただきたい…(白)


『フジコ・ヘミングの時間』を観て、フジコ・ヘミングさんが家にこだわりをお持ちであることを知りました。本作でも、そのことが大いに語られています。1889年に建てられたパリ・マレ地区のアパルトマン、アメリカ西海岸サンタモニカの風情のある家、壊されそうになった京都の町家も購入して救っています。どれも自分の死後も残してほしいという思いをお持ちでした。どのように今後保存されていくのでしょう。フジコ・ヘミングさんの愛した家具や蒐集品とともに、公開されれば嬉しいです。
戦争中、フジコ・ヘミングさんが疎開した岡山県総社市美袋(みなぎ)で弾いたピアノは、保管されていた小学校が廃校になって、捨てられそうになったところ、フジコ・ヘミングさんが有名になったお陰で命拾い。2022年5月の総社の小学生たちとの演奏会には、ほろっとさせられました。
10年以上前に、国際交流基金の授賞式のレセプションだったと思うのですが、一度だけフジコ・ヘミングさんの生演奏を聴いたことがあります。情感たっぷりで迫力もあって聴き惚れました。私も小学生の頃からピアノを習って、中高校生の頃には、今回の映画の中に出てきた曲のいくつかを弾いたことがあります。こんな風に弾くものだったのだと、楽譜だけを追っていた私は恥じ入るばかりです。
今は先に旅立たれたご両親や愛猫や愛犬に迎えられて、幸せな時を過ごされていることと思います。ご冥福をお祈りいたします。(咲)



2024年/日本/カラー/119分
配給:東映ビデオ
©2024「恋するピアニスト フジコ・ヘミング」フィルムパートナーズ
公式サイト https://fuzjko-film.com/
公式X(旧Twitter) @Fuzjko_film
★2024年10月18日(金)新宿ピカデリーほか全国公開中
posted by shiraishi at 10:11| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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