2024年10月06日
若き見知らぬ者たち
原案・脚本・監督:内山拓也
撮影:光岡兵庫
出演:磯村勇斗(風間彩人)、 岸井ゆきの(日向)、 福山翔大(風間壮平)、 染谷将太(大和)、滝藤賢一(松浦)、豊原功補(風間亮介 )、霧島れいか(風間麻美)
風間彩人(あやと)は、 難病を患う母、麻美の介護をしながら、亡くなった父の借金を返済し、 昼は工事現場、夜は両親が開いたカラオケバーで働いている。彩人の弟・壮平も一緒に借金返済と母の介護を担いながら、 父の背を追って始めた総合格闘技の選手として日々練習に明け暮れている。いっぱいいっぱいの日々でも、 彩人は恋人の日向(ひなた)との小さな幸せを掴みたいと考えている。 彩人の親友の大和の結婚を祝う宴会の夜、 彼らのささやかな日常は思いがけない暴力によって砕け散ってしまう。
真面目に働いて、病気の親の介護をしている兄弟。貧しい暮らしの中で精いっぱい生きているのに、どうしてこんなに理不尽な目に遭うのだろうと、胸が冷たいものでいっぱいになりました。「ヤングケアラー」という言葉が知られてきました。同じように、頼る人もすべもなく、ご苦労している人たちがいるんですね。そして外からは見えません。
辛い状況の中でやっと息がつけるのは、日向の出演シーンです。名前の通り、あたたかなお日様のように風間家を照らしていました。彩人が一番ひどい目に遭いますが、その後も一家を支え続ける大変な役を演じた岸井ゆきのさん拍手。格闘技に打ち込む弟・壮平役の福山翔大さんは早くからトレーニングしたようです。試合シーンは長まわし撮影です。母役の霧島れいかさん、警官役の滝藤賢一さんにも驚いてください。
2020年に発表した内山拓也監督の前作『佐々木、イン、マイマイン』では亡くなった佐々木が常に登場して、残った同級生をつなげていました。喪失と閉塞、その中でもがくまだ何者でもない若い人たち、という共通点があります。世の中の片隅へも光が届くように、そこにいる人や思いに気づく人が少しでも増えたら、変わっていくんじゃないでしょうか。この映画はそんな気づきをくれました。
地域には民生委員がいて、住人の実態、福祉ニーズを把握して行政につなげていく役割を果たします。この風間家も行政とつながっていたら、何かができたのではと思えてなりません。(白)
2024年/日本、フランス、韓国、香港/カラー/119分
配給:クロックワークス
(C)2024 The Young Strangers Film Partners
https://youngstrangers.jp/
★2024年10月11日(金)ほか全国ロードショー
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