2024年9月27日(金)より新宿シネマカリテ、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開 劇場情報
『春江水暖~しゅんこうすいだん』のグー・シャオガン監督の山水映画第二弾
監督・脚本:顧暁剛(グー・シャオガン)
撮影監督:郭達明(グオ・ダーミン)
音楽:梅林茂
出演:
目蓮/ムーリエン役:呉磊(ウー・レイ)
苔花/タイホア役:蒋勤勤(ジアン・チンチン)
老銭/チェンさん役:陳建斌(チェン・ジエンビン)
万晴/ワン・チン役:王佳佳(ワン・ジアジア)
浙江省杭州の西湖畔。最高峰の中国茶・龍井(ロンジン)茶の生産地として有名な西湖の沿岸に暮らす母と息子の関係を軸に、マルチ商法など経済環境の変化の中で揺れる家族の姿を美しい風景の中に描いた。10年前に父が行方不明になり、母の苔花と生きて来た青年目蓮。父を探すためにこの地で進学。卒業を控えて、今は求職活動をしている。
息子と生活するため、杭州にやって来た母の苔花は茶摘みで生計を立てていたが、茶商の錢と恋仲に。しかし、家族や仲間に知られてしまい、茶摘みの仕事ができなくなり、苔花は同郷の友人 金蘭に誘われ、彼女の弟が取り仕切るイベントに参加。マルチ商法に取り込まれ、詐欺まがいの仕事に参加するようになってしまった。
この仕事にのめりこみ、お金を稼ぐようになった母は自信を持つようになり、活発に。息子の目蓮は母に、だまされていると言うが、苔花は聞く耳持たず。
2019年の東京フィルメックスで、審査員特別賞を受賞した顧暁剛監督のデビュー作『春江水暖〜しゅんこうすいだん』を観て感動。まだ若いのに熟練の監督作のような映画を作った監督に感心した。フィルメックスでの上映の時、引き続き第二弾を作ると言っていたので新作に期待していたが、これがその新作。1作目の『春江水暖〜しゅんこうすいだん』の表現方法とは違う方法で2作目を描いたが「様々な変化を迎える中国社会の中で精いっぱいに生きる家族の変遷」という、最初の作品への思いはこの作品の中でも生きている。
監督は東京国際映画祭の時のトークの中で原題について、「原題の『草木人間』は「茶」という字を分解したもの(草と木の間に人が入ると茶という字になる)、この映画では、お茶は作品の重要な要素です」と語っている。そして「この作品を作っている時、人というのは天と地の間の草木のようだと感じました。路傍にはえている草、自分が育つところも選べない小さな草木のよう。そんな草木でも太陽の方を向き生命の意義を見出す。草木は生きとし生けるものの象徴。庶民にとっての生活や努力に対する希望の象徴です。山水画の雰囲気を残しつつ、マルチ商法のような社会の問題をどう描くかは挑戦でした」と語っていた。
中国には「目連救母」という言葉があります。地獄に落ちた母を息子目連が救い出そうとする話です。その「目連救母」を題材に、地獄をマルチ商法に変え、人の世とどう結びつけるかを描いたそうです(暁)。
配給:ムヴィオラ、面白映画
2023年|中国映画|118分
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