2024年09月15日

本日公休 原題:本日公休 英題:Day Off

9/20(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開 劇場情報 

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変わらないハサミの音、シャボンの香り、
ここは、アールイさんのちいさな理髪店。


監督・脚本:傅天余(フー・ティエンユー)
製作:呉念真(ウー・ニェンチェン)、呉明憲(ウー・ミンシェン)
撮影:チャン・シータン
音楽:ジョン・シンミン
主題歌:洪佩瑜(ホン・ペイユー)
アールイ:陸小芬(ルー・シャオフェン)
チュアン:傅孟柏(フー・モンボー)
シン:陳庭妮(アニー・チェン)
リン:方志友(ファン・ジーヨウ)
ナン:施名帥(シー・ミンシュアイ)
農家の若者:陳柏霖(チェン・ボーリン)
アンディ:林柏宏(リン・ボーホン)

フー・ティエンユー監督が、自分の母親をモデルに書き上げた脚本を元に、台中にある実家の理髪店で撮影、3年の月日をかけて完成させた作品。ノスタルジックだけど、理髪店を利用する常連客とのやりとり、家族間の微妙な関係、時の流れとともに「老い」の訪れがあり、それでも理髪店を続ける母を暖かい目で見つめます。

台中の町はずれで40年にわたり理髪店を営む店主のアールイ(ルー・シャオフェン)。今日も、いつものように店に立ち、常連客相手にハサミの音を響かせている。息子の卒業式に出席するために整髪にやって来た紳士、夢枕に立った亡き妻に「髪は黒いほうが良い」と言われ、初めて白髪染めにやって来る老人、親に内緒で流行りのヘアスタイルにして欲しいとやってきた中学生など、けっこう忙しい。時が止まったように見える店も、少しづつ季節は巡る。
3人の子どもたちはすでに家を出て、それぞれの道を歩んでいるがアールイの心配は尽きない。台北でスタイリストをしている長女シン(アニー・チェン)、次女リン(ファン・ジーヨウ)は街のヘアサロンで美容師、長男ナン(シー・ミンシュアイ)は定職に就かぬまま一攫千金を夢見ている。子供たちは実家の店にはなかなか顔を見せず、頼りになるのは近くで自動車修理店を営む次女の元夫チュアン(フー・モンボー)だけ。
娘や息子に「理髪店は時代遅れ」と言われても、40年続けた店と常連客を大切にし、アールイは充実した日々を送っている。そんなある日、離れた町から通ってくれていた常連客の「先生」が病の床に伏し、理髪店に通えなくなったことを知り、アールイは、店に「本日公休」の札を掲げ、愛用の理髪道具を持ち、古びた愛車で「先生」の住む町へ向かう。
その日実家を訪れた長女のシンは、母が店を休んでいることを知り、ナンやリンに理由を聞くが誰も知らない。スマホは食卓に置きっぱなしで連絡も取れず、車もなく、3人は母を案じていた。
アールイは車で出かけたものの、久しぶりの運転で慣れず、アクシデントに見舞われ、それでもいろいろな人に助けられ、「先生」の家にたどり着き、散髪をすることができた。

主演は、本作で24年ぶりに銀幕復帰を果たした『客途秋恨』(アン・ホイ監督/90)で母親役を演じたルー・シャオフェン。「こんな脚本をずっと待っていた」と出演を即決し、約4か月間ヘアカットの猛特訓を積んで撮影に臨んだ。本物の理髪師さながらのハサミ捌きと、ブランクを感じさせない演技で、台北電影奨主演女優賞、大阪アジアン映画祭 薬師真珠賞(俳優賞)を受賞。作品は観客賞も受賞。アールイに反発的な次女リンを演じたファン・ジーヨウが台湾金馬奨 助演女優賞、次女の元夫で心優しいチュアンを演じたフー・モンボー(『返校 言葉が消えた日』19)が台北電影奨 助演男優賞を受賞した。『藍色夏恋』(02)のチェン・ボーリン、『僕と幽霊が家族になった件』(22)のリン・ボーホンが、特別出演しています。
プロデュースは、ホウ・シャオシェン監督『悲情城市』(89)、『恋恋風塵』(87)の共同脚本で知られ、エドワード・ヤン監督『ヤンヤン 夏の想い出』(00)の主演で知られる台湾ニューシネマの重鎮ウー・ニェンチェンが担当。

遠方に住む顧客の1人が病気になり理髪店に通えなくなったことを知り、店に「本日公休」の札を下げ、道具を持って車で自らそこまで出向こうとする主人公。途中でいろいろなことがあり、出会いもあり、人の助けも借りて顧客の家にたどりつき、病床の常連客の髪を切る。そして家に戻る。そんな一日を描いていたが、なんとも心にしみる作品だった。病床で髪を切るシーンでは、思わず涙が出た。子供たちとの関係、常連客との関係、助けてくれる次女の元夫。途中で出会った農民役?のチェン・ボーリンとの話も面白い。畑のど真ん中で、散髪する光景は圧巻だった。そして、仕事が終わり、理髪店に戻って、日常がまた始まる。でも、それまでとちょっと違うような日常のような気がした(暁)。

公式HPはこちら 
2023年製作/106分/G/台湾
配給:ザジフィルムズ、オリオフィルムズ
協力:大阪アジアン映画祭
後援:台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター
posted by akemi at 20:34| Comment(0) | 台湾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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