2024年09月07日
石がある
監督・脚本:太田達成
撮影:深谷祐次
音楽:王舟(おうしゅう)
編集:大川景子
出演:小川あん、加納土(かのう つち)
稲垣創太、稲垣裕太、秀、瀬戶山晃輔、山下光琉、五頭岳夫
旅行会社の仕事で郊外の町を訪れた主人公は、川辺で水切りをしている男と出会った。相手との距離を慎重に測っていたが、いつしか二人は上流へ向かって歩きだしていた――
川べりでたまたま出遭った二人がなんとなく一緒に歩き、石を探したりする、それだけのお話です。名乗るでもなく、別れてそれぞれの日常に戻っていきます。それなのに、充実した時間を過ごした気になるのは見ている私がいつも何かしらやって、せかせか暮らしているからでしょう。出会ったらすぐ名乗って握手をかわす文化の国では生まれない映画です。二人とも相手を気にしながら踏み込まない、ちょっとした緊張感もあります。太田監督と友人が石拾いをして、帰り道でなくした体験からできた作品。「石がある」というタイトルに、石ばかり、石しかない河原で唖然としたという監督の顔が見えるようで、ふふっと笑えます。
小川あんさんは『あいが、そいで、こい』(2018)、『スウィートビターキャンディ』(2022)、『彼方のうた』(2023)で外へ向かって主張するわけでもないのに印象に残る人だなぁと感じていました。
加納土さんは、ドキュメンタリー映画『沈没家族 劇場版』(2018)の監督さんです。大きな身体ですが言葉はぽつりぽつりと出るだけ、悪い人じゃなさそう、と思わせる雰囲気がありました。小田原の酒匂川(さかわがわ)がロケ地だそうです。歌川広重の「東海道五十三次」に渡しの場面が残っています。もっと涼しくなったら私も河原で石探しをしたいな。(白)
2022年/日本/カラー/スタンダード/104分
配給:inasato
(C)inasato
https://ishi-ga-aru.jp/
★2024年9月6日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、ポレポレ東中野ほか全国順次公開
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