上映劇場
沖縄を拠点として活動する写真家、石川真生を追ったドキュメンタリー
監督・カメラ・サウンド・編集:砂入博史
出演:石川真生
プロデュース: 砂入博史 + イドレ・バッバイヤー
オーディオ・ミックス :アダム・スコット
サウンド:吉濱翔
字幕:酒見南帆
音楽:アダム・スコット、吉濱翔、米田哲也、北崎幹大、大城修一
オリジナルサウンドトラック:「琉球ハイブリット」 北崎幹大
2019/「オキナワより愛をこめて」 北崎幹大 + 吉濱翔 2019
醜くも美しい人の一生、私は人間が好きだ
1971年11月10日、米軍基地を残したままの日本復帰を取り決めた沖縄返還協定をめぐり、沖縄の世論は過熱していた。ゼネストが起こり、労働者と機動隊の衝突は警察官一人が亡くなる事件に発展した。当時10代だった石川真生は、この現場を間近で目撃。「なんで沖縄にはこんなに基地がいっぱいあり、こんなにいろいろな事件や事故が多いんだろう」。この沖縄県人間同士の衝突で浮かんだ疑問が、彼女を写真家の道に進ませた。
長崎や沖縄などの写真を撮っていた東松照明のワークショップで写真を学び、1975年、米兵を撮るために石川は友人を頼り、コザ・照屋の黒人向けのバーで働き始めた。バーで働く女性たちや、黒人たちと共に時間を過ごしながら、日記をつけるようにカメラを首にさげ写真を撮り続けた。
当時の生活を収めた3冊の写真集「熱き日々 in キャンプハンセン!!」(1982)、「熱き日々 in オキナワ」(2013)、「赤花 アカバナー 沖縄の女」(2017)を手に、およそ半世紀が経った今、当時の記憶を回想する。
写真家としての石川真生のルーツを辿りながら、ファインダーを通して語られた「愛」、そして作品の背景となった歴史、政治、人種差別、それらを乗り越えるパワーを写真とともに映し出していく。
半世紀に渡り沖縄を拠点に制作活動を続け、沖縄に関係する人物を中心に、人々と時間を共にしながら写真を撮り続けている。
以下、プレス情報、HPから
石川真生プロフィール
1953年、沖縄県大宜味村生まれ。1971年、11.10ゼネストを機に、写真家になることを決意する。1974年、WORKSHOP写真学校「東松照明教室」で写真を学ぶ。1975年、黒人兵向けのバーで働きながら、黒人兵とバーで働く女性たちを撮り始める。半世紀に渡り、沖縄を拠点に制作活動を続け、沖縄に関係する人物を中心に、人々と時間を共にしながら写真を撮り続けている。2011年、『FENCES, OKINAWA』で、さがみはら写真賞を受賞。2014年から沖縄の歴史を再現した創作写真シリーズ「大琉球写真絵巻」を開催。2019年に日本写真協会賞作家賞、2024年には土門拳賞、文科大臣賞を受賞。
写真集 (全ての写真は石川真生が撮影したもの)
「熱き日々 in キャンプハンセン」石川真生・比嘉豊光 (あ〜まん出版 1982)
「熱き日々 in オキナワ」石川真生 (FOIL 2013)
「赤花 アカバナー 沖縄の女」石川真生 (Session Press 2017)
© MaoIshikawa
砂入博史監督プロフィール
1972年広島で生まれ、ニューヨークを拠点に活動する。1990年に渡米し、ニューヨーク州立大学現代美術科卒業。ニューヨークを拠点に活動する。欧米、日本の美術館、ギャラリーにてパフォーマンス、写真、彫刻、インスタレーションの展示を行う。
近年は、チベットや福島、広島の原爆等をテーマにした実験ドキュメンタリーを制作。2018年、袴田巌をインタビューした『48 years – 沈黙の独裁者』で同年熱海国際映画祭長編コンペで特別賞受賞。2001年からニューヨーク大学芸術学科で教鞭も執る。現在は日本在住。
監督コメント
オキナワの写真家石川真生は、体当たりで写真を撮る、作品にオキナワの複雑な歴史、政治、アイデンティティを反映させ、進化させ、体現する。石川の実証的でありながら詩的な言葉は、写真と同じくらい印象的だ。写真と言葉は影響し合い、互いをより力強いものにする。私が気をつけたかったことは、被写体を植民地化しないこと、日本人としてオキナワを語らないこと、女性をオブジェクティファイしないこと、石川真生を説明しないこと。彼女の言葉を、映像やリサーチでイシュー順に構成し、オキナワ人であり、女性であり、写真家である石川真生が、可能な限り透明で複雑なオーガニズム、スーパー真生として生成する。
私は石川真生さんより1歳上。同じ時代を生きて来た。1969年、高校3年の頃、ベトナム戦争は激化し、日本でもべ平連(ベトナムに平和を!市民連合)の活動が活発に行われていて、私も何度かデモに参加した。そして、ベトナム戦争の前線に行き写真を送ってきていた報道写真家の活動にも注目していた。それらの写真を見て、私も「報道写真家になりたい」と思うようになり、写真に興味を持つようになりました。
そして米軍は、沖縄からベトナムに飛び立っているということを知り、沖縄の米軍や米兵を撮った写真にも興味を持ちました。その中でも石川真生さんの黒人米兵を撮った写真は衝撃でした。1977年、ミノルタフォトスペース/東京都で開催された写真展「金武の女たち」にも行きました。その後も石川真生さんの写真展に行きましたが、いつしか写真展にも行かなくなり、石川真生さんの活動も知らずに50年近くたちました。その間も真生さんは沖縄の写真を撮っていたのですね。
辺野古での舟の上での撮影風景を観てびっくり。ペンタックス6×7で撮っていました。中型のフィルムカメラで1.5㎏くらいはある。私もこのカメラを使っていたので、重さがずしりと来るのはわかります。よくこんな重いカメラで動くものを追っているなと感心しました。しかも動く舟の上で。
このドキュメンタリーを観たことで、去年(2023.10.13~12.24)、東京オペラシティで「私に何ができるか」という写真展を行っていたことを知りました。今までの集大成の写真展のようでしたが、全然知りませんでした。そんな石川真生さんの話と沖縄のことを、ぜひ、この映画を観て知ってください(暁)。
公式ホームページ:https://okinawayoriaiwokomete.com/
予告編: https://youtu.be/cu_ot-S-GiE
2023年/日本・アメリカ/日本語・英語/101分
協力:吉濱翔、仲里効、大橋弘基、大野亨恭、大琉球写真絵巻実行委員会メンバー
*砂入博史監督にインタビューしています。
写真家石川真生を追ったドキュメンタリー
『オキナワより愛を込めて』砂入博史監督インタビュー
http://cineja-film-report.seesaa.net/article/504602011.html