2024年08月18日
ソウルの春 原題:서울의 봄ソウルの春 英題:12.12: The Day
監督:キム・ソンス
脚本:ホン・ウォンチャン、イ・ヨンジュン、キム・ソンス
出演:ファン・ジョンミン、チョン・ウソン、イ・ソンミン、パク・ヘジュン、キム・ソンギュン、チョン・マンシク、チョン・ヘイン、イ・ジュニョク
ソウルに銃声が響き渡った日――あの夜の戦いで、本当は何が起きていたのか?
1979年10月26日、独裁者とも言われた大韓民国大統領・朴正煕(パク・チョンヒ)が、自らの側近に暗殺された。国中に衝撃が走るとともに、民主化を期待する国民の声は日に日に高まってゆく。
しかし、暗殺事件の合同捜査本部長に就任したチョン・ドゥグァン保安司令官(ファン・ジョンミン)は、陸軍内の秘密組織“ハナ会”の将校たちを率い、新たな独裁者として君臨すべく、同年12月12日にクーデターを決行する。一方、高潔な軍人として知られる首都警備司令官イ・テシン(チョン・ウソン)は、部下の中にハナ会のメンバーが潜む圧倒的不利な状況の中、自らの軍人としての信念に基づき“反逆者”チョン・ドゥグァンの暴走を食い止めるべく立ち上がる・・・
ファン・ジョンミンが登場したとたん、顔は確かにファン・ジョンミンなのに、頭がよく知る実際のモデルの全斗煥(チョン・ドゥファン)で、まずは大笑い。(すみません!) 全斗煥がその後、大統領になったことを知っているので、この12月12日の夜の出来事の結末は想像がついたのですが、訛りの強い言葉でまくしたてるファン・ジョンミン演じるチョン・ドゥグァンの横暴さに、いやはや権力に固執する男だなぁ~と辟易しました。
実在した秘密組織“ハナ会”は、朴正煕大統領時代に、全斗煥が同期の盧泰愚(本作ではノ・テゴンという役でパク・ヘジュンが演じています)と共に陸士卒業生のうち主として嶺南(慶尚北道と慶尚南道を合わせた地域)出身の優秀な将校を集めて結成した組織。
全斗煥は、慶尚南道陜川出身。ファン・ジョンミンは、慶尚南道昌原出身。方言もおそらく似ているのでしょう。独特の抑揚です。
憎々しく見えるファン・ジョンミン演じるチョン・ドゥグァンと違って、チョン・ウソン演じるイ・テシンは、参謀総長チョン・サンホ(演じるイ・ソンミンが、これまたいいです)から、「君のように無欲な人に首都警備司令官を任せたい」と言われるだけあって、とても誠実で、人を思いやれる人物に見えます。そんな彼も、チョン・ドゥグァンの横暴なふるまいに、思わず「射殺してしまえ!」と命じます。末路は悲しいかな・・・ なのですが。
参謀総長チョン・サンホをすでに拉致したチョン・ドゥグァンが、執拗に大統領に参謀総長逮捕の決済を求めます。 朴正煕が暗殺された後の第10代大統領の崔圭夏(チェ・ギュハ)は、任期が1年と短かったこともあって印象に残っていません。本作では、チョン・ドンファン(「冬のソナタ」のサンヒョクの父役など多くのドラマでお馴染みの方)が、穏やかな大統領を演じています。
さて、その後、権力を確固なものにした全斗煥は、光州での民主化運動を武力で押さえつけます。そして、大統領へと昇り詰めるのですが、自ら起こしたクーデターや光州事件の責任を問われ、大統領を辞めた後に逮捕、無期懲役刑を受けています。そのあとに大統領になった盧泰愚も、同じくクーデターの罪で有罪判決を受けています。そのことも知った上で、本作を見ているので、いずれあなたたちも・・・と思うのですが、あそこでなぜ食い止められなかったのかと、韓国国民ならば悔しく思うのではないでしょうか。
あと、チョン・ヘイン演じる特戦司令部 オ・ジノ少領の活躍もお見逃しなく! (咲)
2023年/韓国/韓国語/142分/シネマスコープ/5.1ch
字幕翻訳:福留友子/字幕監修:秋月望
配給:クロックワークス
https://klockworx-asia.com/seoul/
★2024年8月23日(金) 新宿バルト9ほか全国ロードショー
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