2024年7月26日金)~ヒューマントラストシネマ有楽町・MOVIX昭島、シネマート新宿、アップリンク吉祥寺、ほか全国順次公開 他の上映館情報
民主化の道を歩み始めて37年―
女性政治犯を初めて扱った台湾映画
監督:周美玲(ゼロ・チョウ)
原作「流麻溝十五號:綠島女生分隊及其他」:曹欽榮(ツァオ・シンロン)
出演:余佩真(ユー・ペイチェン)、連俞涵(リエン・ユーハン)、徐麗雯(シュー・リーウェン)、徐韜(シュー・タオ)、莊岳(ジャン・ユエ)
脚本:周美玲、吳旻炫(ウー・ミンシュアン)
製作総指揮:姚文智(ヤオ・ウェンチー)
製作:張永昌(チャン・ヨンチャン)
主題歌:曹雅雯(ツァオ・ヤーウェン)
二二八事件、白色テロの時代を描いた
太平洋戦争後、日本統治が終わった台湾に、1949年、中国での共産党との戦いに敗れた蒋介石とともに台湾にやってきた国民党政府。やがて、二二八事件が起こり、恐怖政治下、戒厳令が敷かれ「白色テロ」の時代に。この時代、台湾南東岸の自然豊かな島・緑島には30年以上もの間、政治犯収容を目的とした教育施設と監獄が置かれていた。
1953年、自由を口にするもの、あるいはそうみなされた人たちが政治犯として逮捕される時代になっていった。政治的弾圧が続く中、罪を課せられた者は、思想改造および教育・更生のためということで緑島に収監されていた。
連行された者たちは名前ではなく番号で管理され、囚人として「新生訓導處」に監禁、重労働を課せられる日々を余儀なくされた。この「新生訓導處」は1951年から1965年まで設置された。
実話に基づく話から、3人の女性を元に、この島でのことが語られる。
絵を描くのが大好きな高校生余杏惠(ユー・シンホェイ)。子どもが生まれて間もなく投獄された正義感の強い看護師嚴水霞(イェン・シュェイシア)。妹を拷問から守るため自ら囚人になったダンサー陳萍(チェン・ピン)。拷問や処刑などもあり、次々と迫る不条理に対しても、台湾語、北京語、日本語など様々な言語を使いながら一日一日を生き延びようと助け合う人々。思想犯罪とは何なのか。考えることは罪なのか。これまで閉ざされていた歴史が問われる。
映画のタイトルとなった「流麻溝十五号(原題:流麻溝十五號)」とは身分も年齢も違う女性たちが収容されていた住所。戒厳令は1987年に解除されるまで38年続いた。
*白色テロ:1947年2月28日に台北で発生した「二・二八事件」以降、国民党政権が反体制派に対して行った政治的弾圧のこと
台湾での劇場公開に際して、宣伝活動・ポスプロ費などのために行われたクラウドファンディングでは、43日間で5,758名から支援を受け、約6,085万円(1,217万ニュー台湾ドル)の資金調達を達成。公開から1ヶ月余りで約10万人が劇場で本作を鑑賞。民主化の道を歩み始めて37年。台湾初の女性政治犯を扱った映画が日本公開される。
6人の被害者の口述をまとめた曹欽榮(ツァオ・シンロン)の本「流麻溝十五號:綠島女生分隊及其他」をベースにした物語。
監督は、これまで一貫して女性が主人公の映画を撮ってきた周美玲(ゼロ・チョウ)。2022年10月28日から台湾で公開され、興収4000万台湾ドルというヒット作。
公式サイト
2022年/112分/台湾/DCP/5.1ch
協力:臺灣電影公司 監修協力:江口洋子 日本語字幕:青井哲人+亭菲
後援:台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター
配給:太秦
*参照 周美玲(ゼロ・チョウ)監督 以前のインタビュー記事
『花様~たゆたう想い~』(原題 花漾)
周美玲(ゼロ・チョウ)監督インタビュー
2024年07月20日
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