2024年06月12日
フィリップ(原題:Filip)
監督:ミハウ・クフィェチンスキ
原作:レオポルド・ティルマンド
脚本:ミハウ・クフィェチンスキ, ミハル・マテキエヴィチ
撮影:ミハウ・ソボチンスキ
美術:タジーナ・ソバンスカ、マルセル・スラヴィンスキ
音楽:ロボット・コック
出演:エリック・クルム・ジュニア(フィリップ)、カロリーネ・ハルティヒ(リザ)、ヴィクトール・ムーテレ(ピエール)、ゾーイ・シュトラウプ(ブランカ)、サンドラ・ドルジマルスカ(マレーナ)、ロベルト・ヴィエツキーヴィッチ(スタシェク)、ジョゼフ・アルタムーラ(フランチェスコ)
1941年、ポーランド系ユダヤ人のフィリップはワルシャワのゲットーで暮らしている。恋人サラにプロポーズしたばかり。両親たちが見守る中、舞台でサラとダンスを披露していると突然入って来たナチスが無差別に銃撃。サラと家族や親戚を目の前で殺されてしまう。
2年後。生き残ったフィリップは、フランス人と偽ってフランクフルトの高級ホテルのレストランでウェイターとして働いている。戦場に夫を送り出したナチス上流階級の女性たちを次々と誘惑することが、フィリップの復讐だった。そんな中、ドイツ人のリザと出会う。
原作の小説は、ポーランド人作家レオポルド・ティルマンドが自らの実体験を基に1961年に発表したもの。ポスターのフィリップは傷だらけで、人相が悪いですが、これはナチスに暴行された後の顔だから。ウエイターとして働くフィリップは、独り寝をかこつナチスの上流奥様がたがその気になってしまうスマートさです。ばれることがないのは、ドイツ人女性が他国の男を交わると、純潔を汚した罪で頭を丸刈りにされるから。フィリップはそれを承知で誘惑しては捨てるの繰り返し。
そんな彼に「いい加減にしろ」と言ってくれる親友のピエールは、ナチスに公開処刑されてしまいます。フィリップが恋するリザは愛されて育った聡明な女性ですが、こんな情勢では…と観ていて胸が痛みます。ナチスの傲慢、残虐な仕業を責めたくなる半面、戦時中の日本もどこの国も簡単に人間性をなくしてしまうのだといまさらながら思いました。(白)
2022/ポーランド/ポーランド語、ドイツ語、フランス語、イディッシュ語/1:2/124分/
字幕翻訳:岡田壮平
配給:彩プロ
©TELEWIZJA POLSKA S.A. AKSON STUDIO SP. Z.O.O. 2022
https://filip.ayapro.ne.jp/
★2024年6月21日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国公開
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