2024年04月28日

青春18×2 君へと続く道

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監督・脚本:藤井道人
原作:ジミー・ライ「青春18×2 日本慢車流浪記」
撮影:今村圭佑
音楽:大間々昂
主題歌:Mr.Children「記憶の旅人」(TOY'S FACTORY)
出演:シュー・グァンハン(ジミー)、清原果耶(アミ)、ジョセフ・チャン(リュウ)、道枝駿佑(幸次)、黒木華(由紀子)、松重豊(中里)、黒木瞳(裕子)

18年前の台南。高校三年生男子のジミーは、ときめく出会いを求めてバイトを始めた。ところが期待に反してお客はおじさん、おばさんばかり。がっかりしていたところに、バックパッカーの日本女性が働かせてください、とやってくる。旅をしながら絵を描いているというアミは4つ年上だった。明るいのにどこかミステリアスな彼女にジミーは恋してしまうが、どうやら日本に彼氏がいるらしい。意気消沈するも、アミとの毎日を楽しむジミーだった。アミがすっかり地域に溶け込んだころ、日本に戻る日も近づいていた。ちゃんと告白しようと決心したジミーに、アミはある提案をする。
現在。ジミーは打ち込んだ仕事で挫折、周囲に敵を作ってしまった。ジミーはアミからの葉書を手に、一人日本へ旅立つ。念願だった東京、鎌倉、長野、新潟への旅…様々な人に出逢った。そしてアミの故郷福島へと向かう。

なんとロマンチックで泣かせるストーリーでしょう。それもそのはず、原作のジミー・ライは日本映画『Love Letter』(1995/岩井俊二監督)のファン。この作品の中でもアミとジミーが劇場で並んで映画を観ているシーンがあります。ハンカチやティシュを忘れずに、ついもらい泣きしてしまいます。『Love Letter』を観直したくなりますよ~。
ジミーが台南の景勝地はじめ、様々なところにアミを案内しますので、観光客になったつもりでお楽しみください。そして大人になったジミーがアミのもとへ、遠回りしつつ近づく日本の旅。台湾も日本も美しいです。旅が進むにしたがいアミの隠していた秘密や心境が、霧が晴れていくように少しずつ明らかになっていきます。
台湾の俳優、チャン・チェン(張震)があたためていた企画を映画化、プロデューサーに名を連ねています。あの『牯嶺街少年殺人事件』(1991/エドワード・ヤン)の少年シャオスー(小四)です。(白)


台湾のカラオケ屋が出てきて懐かしかった。台湾には5回くらい行っているけど、2回目に行った時、友人と3人で台北のカラオケ屋で朝までいました。もっとも、私たちの場合は、カラオケ屋で歌うのではなく、日本では見ることができない香港や台湾の歌手やスターのミュージックビデオを見ていたのでした。この映画のカラオケ屋さんで働く仲間たち、まるでファミリーみたいでしたね。
この映画の舞台は台湾では台南がほとんどだったけど、最後、連れて行きたいところがあると言ってアミを連れて行ったのは台北より北にあるローカル線平溪線の十分(シーフェン)で行われている天燈上げ。私もこの十分での天燈上げに行きたくて、2020年に行きました。十数年前から行きたいと思っていたけど、コロナで海外旅行制限が始まる直前にやっと行けたのでした。十分のこの場所は、線路のすぐそばまで住居がせまっていて、台湾の映画に何度も出てきました。初めて行った時は八百屋さんもあってローカル感があったけど、すっかり観光地化してしまいましたね。日本でのランタン上げの場所はどこかなと思ったら、公式HPのロケ地案内では長岡のようでした。「新潟スカイランタンフェスティバル」が出ていて、2019年以来、何か所かで行われているようです。いつか行ってみようかな。
また、アミの出身地が只見になっていたけど、これは台湾での只見人気とと関係があるのかも。『霧幻鉄道 -只見線を300日撮る男-』を観た時、台湾からたくさんの観光客が只見に来るシーンがあって、台湾ではこんなに只見が人気あるんだと驚いたことがありました。もっとも、これはこのタイトルにもなっている只見線をずっと撮っていた星賢孝さんの素晴らしい写真の効果があって、台湾からたくさんの人が只見に来ているのだと思うけど。そして、「トンネルを抜けたら雪景色だった」が出てきましたね。台湾ではこれが受けると思います。アミ役の清原果耶さんの中国語の発音、結構いいなあと思いました。
藤井道人監督は、『新聞記者』の監督さんなんですね。この映画も素晴らしかったです。監督の祖父が台湾の台南出身で、台湾にも留学したことがあるようです。その縁がこの作品につながったのですね。また、撮影の今村圭佑さんは『燕(Yan)』で監督デビューをしている方。この作品も「生き別れた兄を探しに台湾に行く」という内容で、両作品とも日本と台湾の架け橋になるような台湾と関わりの深い作品でした(暁)。


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十分にて 撮影 宮崎暁美


2024年/日本・台湾/カラー/123分
配給:ハピネットファントム・スタジオ
(c)2024「青春18×2」Film Partners
公式サイト:https://happinet-phantom.com/seishun18x2
公式X・公式Instagram・公式TikTok:@seishun18x2
★2024年5月3日(金・祝)全国公開

*参照記事
●『霧幻鉄道 -只見線を300日撮る男-』 安孫子亘監督、星賢孝さんインタビュー
http://cineja-film-report.seesaa.net/article/490123434.html

●台湾ロケ地めぐり 平渓線沿線『台北に舞う雪』公開記念 2010年
http://www.cinemajournal.net/special/2010/pingxi/index.html
2010年の十分の写真が掲載されています。

posted by shiraishi at 13:40| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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