2024年04月19日

青春 原題:青春(春)英題:Youth(Spring)

4月20日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開 劇場情報

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© 2023 Gladys Glover - House on Fire - CS Production - ARTE France Cinéma - Les Films Fauves - Volya Films – WANG bing

監督:王兵(ワン・ビン)


上海を中心に広がる「長江デルタ地域」。
地方から出稼ぎに来ている若者たちが働く縫製工場。彼らはミシンで子供服を縫っている。手持ちカメラによって捉えられた雑然とした作業場では若い男女が猛烈なスピードで子供服をミシンで縫っている。決まった時間に何枚縫えるか競争までしている。そのような作業をしながら、彼らはその反復労働に慣れて、手を動かしている間でも、同僚同士で活発な会話を続けている。あちこちで言い争いも起こる。また、カップルもいる。
ワン・ビン監督の新作は、中国の10代後半から20代の若い世代を、衣料品製造の中心地である浙江省湖州市の織里鎮という町での彼らの青春と反復労働の日々に焦点を当てた作品。
カメラはあくまで観察的な姿勢で、若者たちの劣悪な労働環境や、彼らの人生や恋愛、賃金交渉にどのように対処しているかを淡々と捉える。若者たちの多くにより良い未来が待っているようには思えないが、今ここを楽しもうとする彼らの楽観主義的な姿が印象に残る。

彼らのような若者も、実は長江デルタの経済を支えている一員であることを認める人はほとんどいない。世界は彼らに注目しない。しかし、ここには驚くほどにみずみずしい青春がある。自分がやるべき仕事は「世界から見えない人たちの生を記録すること」と語る王兵監督。

王兵(ワン・ビン)WANG BING HPより
1967年11月17日、中国陝西省西安生まれ。
街で生まれたが、飢饉のため幼少時に農村に移り住む。父は出稼ぎに行き、母・妹・弟と暮らした。14歳のとき、父が病死し、当時の「接班」政策により父の仕事を受け継ぐことになり、父の職場だった「建設設計院」に職を得て、14歳から24歳まで一家の大黒柱として働く。職場で知り合った建築士らの影響で学問と写真に興味を持つようになり、1991年、人の紹介を得て、瀋陽にある魯迅美術学院で学び始める。翌92年、正規の試験を受けて写真学科に入学。3年間学んだのち、95年から1年間は北京電影学院撮影科で学ぶ。97年に魯迅美術学院に復学し、卒業するが、当時は仕事がなく、新聞映画撮影所に入り、1年半ほど知人の監督の手伝いなどをして過ごしたが、1999年、その生活に見切りをつけ瀋陽に戻り、1999年から中古のデジタルカメラひとつで、『鉄西区』の撮影に着手。2002年に5時間ヴァージョンの『鉄西区』がベルリン国際映画祭フォーラム部門で上映され、世界に衝撃を与える。その後、再編集し、2003年に9時間を超える画期的なドキュメンタリーとして完成させた。同作品は山形国際ドキュメンタリー映画祭最高賞はじめリスボン、マルセイユの国際ドキュメンタリー映画祭、ナント三大陸映画祭などで最高賞を獲得するなど国際的に高い評価を受ける。続いて、「反右派闘争」の時代を生き抜いた女性の証言を記録した『鳳鳴―中国の記憶』(2007年)で2度目の山形国際ドキュメンタリー映画祭最高賞を獲得。2010年には、同じく「反右派闘争」時代の飢餓を題材に、初の長編劇映画となった『無言歌』を発表。初めて日本で劇場公開され、キネマ旬報の外国映画監督賞にも選ばれた。2012年には雲南省に暮らす幼い姉妹の生活に密着したドキュメンタリー『三姉妹〜雲南の子』を発表し、ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門グランプリなど数々の国際賞に輝く。
2013年には本作の配給であるムヴィオラが製作出資した『収容病棟』を発表。中国・雲南省の精神病院を撮影し、収容された一人一人が愛を求める姿を感動的に描き、ナント三大陸映画祭銀の気球賞などを受賞。2016年にはミャンマー内戦により中国国境に逃れて来た中国系のタアン族を描いた『TA'ANG』、浙江省の出稼ぎ労働者を題材にした『苦い銭』、2017年には『ファンさん』と国際映画祭で話題作が続いたが、2018年、カンヌ国際映画祭でついにこれまで記録し続けた題材、「反右派闘争時代の飢餓」の集大成となる8時間越えの大作『死霊魂』を発表。3度目の山形国際ドキュメンタリー映画祭最高賞の栄誉に輝いた。
また、ワン・ビン監督の場合、映画作品と美術作品のフィールドが交差しているが、傑作『名前のない男』(2010)をはじめギャラリーや美術祭の委嘱作品も多い。2014年には現代アートの殿堂であるパリのポンピドゥー・センターにて1カ月以上にわたる回顧展、2017年にはドイツのドクメンタ14に招聘。2021年には、パリのル・バルで「The Walking Eye」と題した展覧会が開催され、フランス・シネマテークでは映画のレトロスペクティヴも行われた。2023年にはドイツに住む中国人亡命作曲家・王西麟(ワン・シーリン)を描くビデオアート『黒衣人』を発表し、東京フィルメックスでも上映されて話題を呼んだ。

最初に彼らが出てくるときには、出身地と名前が出てくるがほとんどが近県の出身。しかも10代後半から20代前半がほとんど。作業場のすぐ並びに宿泊施設もある。そんな、2,30人規模の工場が通り沿いにたくさんあり、たくさんの若者が働いている。季節が冬に向かっているのか、彼らが製作していたのは冬用の子供服。こんな風に服は作られているのだなと、制作過程を知った。
最初、これまでの王兵監督の作品とは
「春」という言葉があるけど、これはまだ途中だそう。この作品は215分だけど、最終的に9時間くらいになるらしい。3時間半でも長いのに、9時間かとため息。前作『死霊魂』も8時間を超える作品だった。

2023/フランス、ルクセンブルグ、オランダ/215分
配給:ムヴィオラ

posted by akemi at 18:06| Comment(0) | 合作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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