2024年04月21日

越後奥三面 山に生かされた日々

echigo.jpg

監督:姫田忠義
出演:奥三面(おくみおもて)のみなさま

日本各地の生活や民族の伝統を数多くの映像作品として送り出した、姫田忠義監督。1976年民族文化映像研究所を設立し、1980年からダム計画によって、消えていく新潟県北部の奥三面という山村の取材を始めた。そこには消えつつある伝統の暮らしが驚くほど継承され、残っていた。4年をかけて映像をとりためた。集落は1985年に廃村、2000年にはダムの底に沈んだ。

1984年9月21日に日本初公開された作品が、40年を経てデジタルリマスター版でリバイバル公開です。
八百万の神はそこにもここにもいらっしゃいます。折りあればこうべをたれ、手を合わせます。自然を敬い、厳しい自然と折り合って暮らす人々が映像に残されています。ちんまりと座るおばあちゃん、毛皮を着て山に入る男性。なんだか自分の祖父母を見ているようです。育ったところは違うのですが、空気やたたずまいが似ています。頼み込んで狩猟に同行する監督のわくわく感も伝わってきます。子どもたちも仕事を分担し、親を助けてよく働きます。犬や猫にもちゃんと役割があります。
「山、山、山…」と繰り返す村の人の声になんだか泣けてきました。山で生まれ、山で育ち、心の中から身体のすみずみまで「山」が詰まっているんですね。
ここに映っている子どもたちは、すっかり大人になり、高齢の方々はすでに彼岸へと旅立たれたでしょう。姫田忠義監督も2013年に亡くなられています。この集落はダムの水面下に消えていきましたが、記録はこうやって残りました。記録は記憶になると映像作家の方が言われました。行ったことのない土地、会ったことのない人たちなのにどこか懐かしく思うのは、自分の記憶と少しでも重なるところがあるからです。感情もいっしょに上書き保存されて、新しい記憶となりました。(白)


1984年/日本/カラー/145分
配給:民族文化映像研究所
(C)民族文化映像研究所
https://minneiken.wixsite.com/okumiomote
民映研 X(旧Twitter)はこちら
★2024年4月27日(土)よりポレポレ東中野にてロードショー、全国順次公開

posted by shiraishi at 16:11| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください