2024年04月21日

システム・クラッシャー  原題:Systemsprenger 英題:System Crasher

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© 2019 kineo Filmproduktion Peter Hartwig, Weydemann Bros. GmbH, Oma Inge Film UG (haftungsbeschränkt), ZDF

監督・脚本:ノラ・フィングシャイト
撮影:ユヌス・ロイ・イメール
音楽:ジョン・ギュルトラー
出演:ヘレナ・ツェンゲル、アルブレヒト・シュッフ、リザ・ハーグマイスター、ガブリエラ=マリア・シュマイデ

9歳の少女ベニーは、一見普通の女の子。だけど、いったん怒りの感情に火がつくと、あたり構わず暴力をふるって手がつけられなくなる問題児。里親の家庭、グループホーム、特別支援学校・・・と、問題を起こすたびにたらい回し。学校にも行かずに過ごしている。ベニーは、顔を触られることが大嫌い。赤ちゃんの頃、父親が顔にオムツを押し付けたことがトラウマになっていて、触られるとパニック発作を起こすのだ。ママ以外、誰にも顔を触らせない。心を許せるのはママと、社会福祉課のマリア・バファネの二人だけ。またトラブルを起こしたベニーの為に、マリアが新しい通学付添え人としてミヒャを連れてくる。彼の役目はベニーの通学に付き添うことだけど、ベニーは学校へ行く気などさらさらない。グループホームで包丁を振り回し、病院に連れていかれる始末。ミヒャが「森で3週間、1対1で世話をする。水も電気もない環境で」と提案。最初は、何もしたくないと素っ気なかったベニーが、親身に相手をしてくれるミヒャにだんだん心を開いていく・・・

システム・クラッシャーとは、あまりに乱暴で行く先々で問題を起こし、施設を転々とする制御不能で攻撃的な子供のこと。助けることができない子供たちを指す言葉。
本作が長編映画デビュー作となるノラ・フィングシャイトは、教育支援学校、緊急収容センター、児童精神科病棟など綿密に取材を重ね、現場を体験しながら5年間のリサーチを経て脚本を執筆し、映画化。
ベニーを演じたヘレナ・ツェンゲルの破壊的な怒りの演技がすごいです。これが地だったら、ほんとに手に負えなくて、親も周りも大変。でも、実際にこういう子供はいるのですよね。だから私は子育てしたくなかったのだと変に納得してしまいました。もちろん育てやすい子もいるのでしょうけど。先日、バスの中で泣きわめいてはた迷惑な女の子がいて、母親が何も言わないのが解せなかったのですが、思えば、あそこで母親が何か言ったとしても泣き止まないのを経験上わかっているからなのですね。あ~子育ては大変!(咲)


☆ヘレナ・ツェンゲルはドイツ映画賞の主演女優賞を歴代最年少で受賞

2019年/ドイツ/ドイツ語/カラー/125分/ビスタ
日本語字幕:上條葉月
後援:ゲーテ・インスティトゥート東京
提供:クレプスキュール フィルム、シネマ サクセション
配給:クレプスキュール フィルム
公式サイト:http://crasher.crepuscule-films.com
★2024年4月27日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開



posted by sakiko at 04:21| Comment(0) | ドイツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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