2024年04月07日

プリシラ(原題:Priscilla)

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監督・脚本:ソフィア・コッポラ
原作:プリシラ・プレスリー サンドラ・ハーモン
撮影:フィリップ・ル・スール
音楽監修:ランドール・ポスター
衣装:ステイシー・バタット
出演:ケイリー・スピーニー(プリシラ)、ジェイコブ・エロルディ(エルヴィス・プレスリー)、ダグマーラ・ドミンスク(アン・ボーリュー)、アリ・コーエン(キャプテン・ボーリュー)、ティム・ポスト(ヴァーノン・プレスリー)

14歳のプリシラは、軍人の父が駐留するドイツで、部下だったエルヴィス・プレスリーと出会った。すでにレコードが大ヒットしてスーパースターとなっていたエルヴィスだったが、孤独でシャイな様子の彼にすっかり心奪われる。やがて誰もが憧れる彼の「特別」になった。プリシラは若すぎると心配する両親の反対を押し切って、エルヴィスの大邸宅で一緒に暮らし始める。初恋から夢のような世界に足を踏み入れ、彼が望む色に染まり、そばで支えることが全てと思っていた。

2022年の『エルヴィス』では、マネージャーだったパーカー大佐が彼をスーパースターに押し上げていく様が描かれていました。本作はプリシラの自伝本を元にソフィア・コッポラがプリシラの視線から描きました。エルヴィスと出会った一人の少女が、特別な環境で大人の女性に成長していく過程が丁寧に辿られています。ケイリー・スピーニーがプリシラを繊細に演じてベネチア国際映画祭最優秀女優賞を受賞。
家でのエルヴィスはマザコンで承認欲求の塊で、妻を思い通りに作り上げたい男性(光源氏か)、舞台で熱唱するスーパースターとは違った顔を見せます。10代のプリシラは、彼の好みのメイクをし、選ばれたドレスを素直に着て、エルヴィスの不在も我慢します。しかし、いつまでもそのままではいられません。
少女たちが夢見た暮らしを手にいれたプリシラが、その後どうしたかはすでに知られています。当時を再現した美術や衣装、変わっていくプリシラのファッションも女性にはツボでしょう。エルヴィスファンも、自立する女性になりたい映画ファンもどうぞ。(白)


ケイリー・スピーニー演じる14歳のプリシラが、まだ少女のあどけなさを残すピュアな雰囲気で、母を亡くしたばかりの時に徴兵で故郷から遠く離れた地に来ていたエルヴィスが心惹かれたのも納得させられました。一緒にいたい、いつかは結婚したいとエルヴィスは思いつつ、まだ10代のプリシラを思いやって、グレースランドの邸宅に祖母も父も一緒だからとプリシラの両親を説得して同居。プリシラはそこからカソリックの学校に通います。「エルヴィスの彼女よ」と噂されながらの学校生活。スーパースターの彼女という立場って、どんな気持ちだろう・・・と、思い巡らしてしまいましたが、たまたま出会って惹かれ合った人が有名人というだけ。逆に、目立ってはいけないとか、ツアーに出た時には寂しい思いもするし、共演者とのロマンスの噂が報道されれば静観するしかないと気苦労も多そうです。若くして結婚したプリシラが、だんだん自我に目覚め、自分の人生を歩みたいと思うに至る過程を、ソフィア・コッポラは丁寧に描いています。映画一家という有名家族に育ったソフィア・コッポラだからこそ、プリシラの思いに寄り添うことも出来た面があるのではと感じました。(咲)

芸能人のプライベートには興味がないので、エルヴィスの妻プリシラという名前くらいは聞いたことがあるけど、わずか14歳の時に西ドイツで知り合ったというのはこの映画で知った。プレスリーの元で大人に成長したというけど、いくら世間からみれば憧れの生活とはいえ、囲われている状態だったのだなと感じ、プレスリー色に染められていくのをみてイライラしてしまった。
それにしても徴兵で本国でないところに勤務ということがアメリカではあるんだ。高校卒業前に、プレスリーの家に入ったということも驚き。プレスリーはロリコンだったのか。プレスリーの曲は大好きだったけど、やっぱり1950年代のアメリカ女性に対する態度というのはこうだったのか。プリシラが、のちに自分の人生を取り戻したのを知りホッとした。今回、プレスリーの曲を使わせてもらえなかったのがとても残念。
「恋と孤独で着飾っていた」言葉が印象に残った。(暁)
 

2023年/アメリカ、イタリア/カラー/ビスタ/113分
配給:ギャガ
(C)The Apartment S.r.l All Rights Reserved 2023
https://gaga.ne.jp/priscilla/
★2024年4月12日(金)TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 02:06| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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