2024年04月05日

フィシスの波文 英題:RIPPLES of PHYSIS

4/6(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開 劇場公開情報

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©︎2023 SASSO CO., LTD.

遠く、深く、文様に導かれた旅。
京都に400年受け継がれる唐紙文様を起点に、太古から文様にかたどられたフィシス(あるがままの自然=古代ギリシャ語)を辿る。
時空を超えて、そのあわいに見えてくるものはー

監督・撮影・編集:茂木綾子
プロデューサー:河合早苗
サウンド:ウエヤマトモコ
音楽:フレッド・フリス
タイトル考案:中沢新一(人類学者)
宣伝美術:須山悠里

出演:
千田堅吉(唐長十一代目 唐紙屋長右衛門)
千田郁子(唐長)
鶴岡真弓(芸術人類学者)
ピエール=アレクシィ・デュマ(エルメス アーティスティック・ディレクター)
戸村 浩(美術家)
皆川 明(ミナ ペルホネン デザイナー)
門別徳司(アイヌ猟師)
貝澤貢男(アイヌ伝統工芸師)ほか

人はなぜ文様を描くのか?
古来から現代に至るまで、人と自然の関わりを映す文様を辿るドキュメンタリー


文様はいつの時代にも人の営みと共にあり、シンプルでいながら豊かな文様の世界は全世界共通の記憶と深く結びついている。無限に連なり広がる文様は古代と現在をつなぎ、さらに世界をつなぐ人類普遍の思想のネットワーク。
京都の唐紙工房「唐長」は、和紙に文様を手摺りする唐紙を400年間継承してきた。その手仕事の現場から本作は始まる。植物の文様、雲や星を表す天象文様、渦巻きや波文様などが刻まれた江戸時代の板木を使い、泥絵具や雲母で和紙に文様を刷っていく。その反復(繰り返し)によって生み出される唐紙の美しさ。あるがままの自然から伝わる形、動き、リズム、色合いをカメラは丁寧に追う。
葵祭や祇園祭、寺社や茶事の際に使われる文様。1万年余り前のイタリアの線刻画や古代ローマの聖堂を飾るモザイク模様。北海道のアイヌの暮らしに受け継がれている独特な文様。文様に導かれ、時空を超えて旅は繋がっていく。
芸術人類学者の鶴岡真弓は京都の祭礼にインドやケルトなどユーラシア文明から伝わった文様が用いられてきたこと、北と南の文明の出会いによって生まれた動物文様の陣羽織を豊臣秀吉が身につけていたことなどにも触れ、「人々に生命力を与えるのも文様の使命」と語る。唐長十一代目の千田堅吉は「主役はあくまでも文様。思い入れを入れてはいけない仕事」と、日々作業を続ける。唐紙に注目するエルメスのアーティスティック・ディレクター・ピエール=アレクシィ・デュマは、「工芸によって形を変える行為は、混沌の中に宇宙を見出すこと」と語り、デザイナーの皆川明(ミナ ペルホネン)、美術家の戸村浩は、自然からのインスピレーションと、自らの創作について語る。密やかに行われ、伝承されてきたアイヌの儀式や山の神への祈りは、人と自然とアイヌ文様との関係性を浮きあがらせる。多様に拡がる文様を巡る旅の記録が、人類の古くからの文様の歴史を語る。

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©︎2023 SASSO CO., LTD.


茂木綾子監督は「世界中の様々な暮らしの中にある文様は、ずっとそこにありながら、実はとても不思議な存在に感じられます。きっと遠い昔から、人が自然を神々として捉え、その美と力に近づこうと文様の原型が生まれたのではないでしょうか。私も同様に、自然の完璧な美に常に感動し、太古から続く自然を愛する人々の営みに対する共感とともに、この作品を制作しました」と語る。

河合早苗プロデューサーは「京都の唐紙屋・唐長の文様と出会ったのがこの映画製作の始まりです。初めて見る650もの唐紙は息を呑むほど美しく、同時にどこか異国の香りを放っていました。ケルト文様やイタリアの古代遺跡の文様などを思い起こしたのです。この文様はどこから来たのか、なぜユーラシア大陸の東の果ての京都に、これほどまでの文様が400年間残っているのか。
この謎を追っていけば、人類の創造の源流にたどり着けるかもしれない。文様の不思議に惹かれ、その謎を追い、記録に残したいと思ったのが映画製作のきっかけです。言葉、国境、文化を軽々と越えていく文様のように、あらゆるボーダーを超えて映画を通した出会いの軌跡が、美しい文様となって世界に広がっていくことを願っています」と語っている。

HPより
茂木綾子 監督・撮影・編集
写真家、映像作家。92 年キャノン写真新世紀荒木賞受賞。
97 年よりミュンヘン、06 年よりスイスのラ・コルビエールにて活動。
09 年淡路島へ移住し、アーティストコミュニティ「ノマド村」の活動を展開。
写真集『travelling tree』(赤々舎)、映画『島の色 静かな声』(2008)、『幸福は日々の中に。』(2015)、『zen for nothing』(2015)など。

河合 早苗 プロデューサー
映画プロデューサー。SASSO CO., LTD.代表取締役 。インテリア・プロダクトデザイナー
Michele De Lucchi 建築設計事務所(イタリア・ミラノ)に勤務、STUDIO SANAE KAWAI 設立(プロダクトデザイン、店舗・住宅設計)「京都、唐紙屋長右衛門の手仕事」 (NHK出版 生活人新書) 企画参加。SASSO CO., LTD.を設立し、映像・デジタルコンテンツの企画製作・配給、出版・セミナーの企画を行う。古代から現代まで世界各国の「文様」をテーマにしたドキュメンタリー映画「フィシスの波文」を企画・製作。

模様をめぐるさまざまな状況が映し出される。その中でも最初に出てきて、このドキュメンタリーのかなりの部分を占める唐紙ができるまでの映像が印象的だった。和紙を作るところ、江戸時代から使われてきた様々な文様の板木を使って和紙に文様を刷るシーンが映し出され、文様というのは刷りの繰り返しであると知った。シンプルな板木に彫られた文様を、何度も何度も和紙に刷ることで模様が広がる様が感動的だった。また、アイヌ文様について子供の頃から興味があったので、古老が文様を子供達に伝え子供たちが囲炉裏の灰に文様を繰り返し描き練習するという伝承方法になるほどと思った。そして、アイヌの民族衣装の刺繍や木彫りの文様は、祈りのかたちだったり、民族の誇り、生活や歴史を伝えているものだと知った(暁)。

2023年/85分/日本/カラー・モノクロ/1.90:1/ステレオ
公式HP https://physis-movie.com/
企画・製作・配給:SASSO CO., LTD.
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)、独立行政法人日本芸術文化振興会
posted by akemi at 05:53| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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