2024年03月22日
オッペンハイマー 原題, Oppenheimer
監督、脚本、製作:クリストファー・ノーラン
製作:エマ・トーマス、チャールズ・ローヴェン
原作:カイ・バード、マーティン・J・シャーウィン 「オッペンハイマー」(2006年ピュリッツァー賞受賞/ハヤカワ文庫)
出演:キリアン・マーフィー、エミリー・ブラント、マット・デイモン、ロバート・ダウニー・Jr.、フローレンス・ピュー、ジョシュ・ハートネット、ケイシー・アフレック、ラミ・マレック、ケネス・ブラナー
「原爆の父」オッペンハイマーの栄光と没落の生涯
J・ロバート・オッペンハイマー
1904年4月22日 ドイツからのユダヤ系移民の子としてニューヨークで生まれる。
1925年、ハーバード大学を3年で卒業後、イギリスのケンブリッジ大学に留学。
1926年、敬愛する客員教授ニールス・ボーアに勧められ、ドイツで理論物理学を学ぶ。
1927年、博士号を取得しアメリカに帰国。カリフォルニア大学で教鞭を取るようになる。
1936年、家主が開いた集会で共産党員のジーン・タトロックと出会い恋に落ちるが、長くは続かなかった。その後、出会った当時既婚者だった植物学者のキティ(キャサリン)と結婚。
第二次世界大戦下の1942年、オッペンハイマーは、国家の極秘プロジェクト「マンハッタン計画」に参加。優秀な科学者たちを率いて、ニューメキシコ州ロスアラモス研究所で原子爆弾の開発を進める。ナチスドイツの原子爆弾開発に対抗するものだったが、ナチスは降伏。その後は日本を降伏させるための武器として研究は続けられ、1945年7月「トリニティ実験」でついに成功を収める。しかし原爆が実戦で投下されると、その惨状を聞いたオッペンハイマーは深く苦悩するようになる。
戦争を終結させた立役者として賞賛されるも、その後、冷戦、赤狩り―激動の時代の波に、オッペンハイマーはのまれてゆく・・・
原爆の開発に成功したオッペンハイマーの内面を一人称で語り、作り出してもいいのかと苦悩する姿も見せてくれるのですが、被爆国の私たち日本人にとっては、罪悪感を持つなら作らないでほしかったと思わざるをえません。本作では、広島・長崎に投下された事実やその後の今も続く後遺症については語られていません。そこは不満なのですが、優秀な科学者は、自分の研究成果がどんな影響を与えるのかを考えて行動してほしいというメッセージは強く感じました。
原爆投下で戦争を終わらせることが出来たというのは詭弁で、すでに日本は負け戦だったと聞きます。開発に成功したから落としてみたかったのではと勘繰りたくもなります。
その後も、水爆や新しい兵器の開発は進み、一向に世界から戦争はなくなりません。
第96回アカデミー賞® 作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、撮影賞、編集賞、作曲賞の最多7部門を受賞した本作。 オッペンハイマーと、彼を取り巻く人々を丁寧に描いたクリストファー・ノーラン監督の思いを噛みしめながら、大きな画面でご覧ください。(咲)
2023年/アメリカ/180分
配給:ビターズ・エンド ユニバーサル映画
公式サイト:https://www.oppenheimermovie.jp/
★2024年3月29日(金)、全国ロードショー
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