劇場情報
監督 熊谷博子
ナレーション・朗読:斉藤 とも子
撮影:中島広城
録音:奥井義哉
助監督:土井かやの
編集:大橋富代
映像技術:柳生俊一
整音:小長谷啓太
音楽:黒田京子
宣伝美術:安倍大智
出演:宮﨑かづゑ、宮﨑孝行ほか
私、みんな受けとめて、逃げなかった
『三池~終わらない炭鉱(やま)の物語』、『作兵衛さんと日本を掘る』など炭鉱に関わる人々を追い続けてきた熊谷博子監督。最新作は、岡山県瀬戸内市にある国立ハンセン病療養所・長島愛生園に暮らすハンセン病回復者の宮﨑かづゑさんを8年間に渡り撮影したドキュメンタリー。
かづゑさんの人生に伴走し、厳しくも充実した人生を生き抜いてきた彼女に寄り添って見えてきたものは、力強く誇り高くもチャーミングな生き方。
かづゑさんは10歳で入所して以来約80年、生まれ故郷の家に帰れずこの島で生きてきた。病気の影響で手の指全部と片足を切断、視力も落ちている。それでも電動カートに乗って施設内の商店に買い物に行ったり、料理など周囲の手を借りながら自分で行っている。
らい患者の日常を知ってもらいたい、本当のらい患者の感情、飾っていない患者生活を残したい。らいに負けてなんかいませんよと力強く語る。患者同士のいじめに遭いつらかった子ども時代や、より重病者を下に見て、差別されているものが差別をする実態も語られる。
しかし、家族の愛情と、たくさんの愛読書が絶望の淵から引き上げてくれたという。そして夫の孝行さんと出会い、海沿いにあった夫婦寮で自然とともに暮らしてきたことを懐かしむ。
かづゑさんはいつも新しいことに挑戦し、78歳のときにパソコンを覚え、84歳になって初の著作「長い道」(みすず書房)を出版。類まれな表現力で日常を瑞々しく綴り、版を重ねている。
そして、90歳半ばになったかづゑさんは「できるんよ、やろうと思えば。」と語る。
熊谷博子監督メッセージ HPより
宮﨑かづゑさんは、私が初めて会ったハンセン病の元患者さん(回復者)でした。信頼する知人に、会わせたい人がいるからと、半ば強引に長島愛生園に連れていかれました。10歳からハンセン病療養所で生活している、という人に。その日々の暮らしを描いた著書「長い道」を会う前に読み、大変心をうたれました。かづゑさんの部屋で話しながら、この人生を撮って残しておかねばと心に決め、2016年から愛生園に通い始めました。それから8年間、私たちはカメラとマイクを携えて、かづゑさんの人生に伴走することになりました。この映画はハンセン病を背景にしていますが、決してハンセン病だけの映画ではありません。人間にとって普遍的なことを描いたつもりです。
公式HP https://www.beingkazue.com/
2023年製作/119分/DCP/日本
協力:国立療養所 長島愛生園
配給協力:ポレポレ東中野 宣伝:きろくびと
製作・配給:オフィス熊谷
【関連する記事】