2024年02月25日

リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシング  原題:Little Richard: I Am Everything

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監督:リサ・コルテス
出演:リトル・リチャード、ミック・ジャガー、トム・ジョーンズ、ナイル・ロジャーズ、ノーナ・ヘンドリックス、ビリー・ポーター、ジョン・ウォーターズほか

リトル・リチャード。1950年代半ばに彗星のように音楽シーンに現れ、後進のロック・ミュージシャンに多大な影響を与えた革新的黒人アーティスト。
ミック・ジャガーは「ロックンロールはリトル・リチャードが始めた」と語り、エルヴィス・プレスリーは「彼こそロックンロールの真のキングだ」と称賛。ビートルズのデビュー前から親交があったジョン・レノンは「初めて会ったとき、畏敬のあまり、硬直してしまった」と言い、ポール・マッカートニーは「歌で叫ぶのはリチャードの影響さ」と語る。はたして彼はいったいどのような生い立ちを経て、その名を世界に刻んでいったのか。
本作は、ピアノを叩くように弾いたり、ピアノの上で衣服を脱ぎ捨てる姿などのアーカイヴ映像や、彼を崇拝する多くのミュージシャンの言葉を綴って、リトル・リチャードがロックンロールの祖であることを示したドキュメンタリー。

リトル・リチャード。1932年12月、教会の多い保守的な町ジョージア州メイコンでアフリカ系黒人の両親のもとに生まれる。母とは静かに祈るバプテスト教会、父とはメソジスト教会に通い、踊りながらゴスペルを歌っていたそうです。ゲイを公言した為、父からは破門され、白人向けのゲイクラブの2階に住まわせてもらい、ブルースやゴスペルを歌う暮らし。
1955 年のデビュー・シングル「トゥッティ・フルッティ」は、最初、黒人専用ラジオチャンネルで流されるも、カーラジオなどで白人も聴いて知るところに。その後、「のっぽのサリー」の大ヒット。白人と黒人が同じ場所に居られなかった時代。白人がリトル・リチャードのコンサートに押しかけ、黒人音楽を白人に聴かせた罪で捕まったことも。
人気の絶頂期、1957年、アラバマ州のオークウッド大学に入学して神学を修め牧師に。ゴスペルを歌い、ゴスペルのキングと名乗ります。結婚もしますが、1962年、突如ロック歌手として復帰。ロンドンでのツアーは暴動と化すほど過激でした。その後、リバプールでまだ駆け出しのビートルズに会うのですが、ビートルズにとって有名人に会う初めての機会だったとか。若い4人の姿が初々しいです。ローリング・ストーンズも、リトル・リチャードのイギリスツアーの前座だったのです。多くの名だたるミュージシャンに影響を与えたのに、ロックンロールのルーツが黒人だったことを抹殺していると嘆きます。ようやく日の目をみたのが、1997年。アメリカン・ミュージック・アワード功労賞に輝きます。「生きている間に貰えて嬉しい」と語るリトル・リチャード。64歳になっていました。

私にとっては、まったく知らない人だったのですが、黒人音楽が好きな妹に『リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシング』という映画が、3/1から公開されるとLINEを送ったら、すぐに「へー観たい。全ては彼から始まったんです」と返事。「ポールやジョンが彼の音楽スタイル真似して大きくなった」と、まるで公式サイトを見たかのような返事が来ました。(寸時に返事が来たので、見てないはず) そうっか、知る人ぞ知るだったのだと。
この映画を機会に、彼を知らなかった人に、黒人やゲイが激しく差別されていた時代に、自分らしく表現した人がいたことを知ってほしいと思いました。(咲)


2023年/アメリカ/101分/カラー/ビスタ/5.1ch/DCP
字幕:堀上香
字幕監修:ピーター・バラカン
提供・配給:キングレコード
公式サイト:https://little-richard.com/
★2024年3月1日(金)より、シネマート新宿ほか全国公開
posted by sakiko at 15:26| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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