2024年02月25日
ストリートダンサー 原題:Street Dancer 3D
監督:レモ・デソウザ(『フライング・ジャット』)
出演:ヴァルン・ダワン(『スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え! No.1!!』)、シュラッダー・カプール(『サーホー』)、プラブデーヴァー(『Rラージクマール』)、ノーラー・ファテーヒー(『バーフバリ伝説誕生 完全版』)
ロンドンを舞台に、インド系移民とパキスタン系移民の2つのダンスグループが、世界一のダンサーを決めるダンス大会「グラウンド・ゼロ」で、優勝を競う物語。
ロンドンで生まれ育ったインド人のサヘージ(ヴァルン・ダワン)は、インド系の仲間たちと「ストリート・ダンサー」というチームでダンスを踊っている。ダンスで膝を痛めた兄のインデル(プニト・パタク)が子どもたちにダンス指導ができるようにとダンススタジオを用意する。自分で踊れなくなったインデルにとって、弟サヘージがダンス大会「グラウンド・ゼロ」で優勝することが夢だ。
一方、パキスタン系移民の娘イナーヤト(シュラッダー・カプール)は、「ルール・ブレイカーズ」というグループを率いて踊っている。
超絶ダンサーのアンナー(プラブ・デーヴァー)がオーナーを務めるレストランで、二つのダンスグループは、インドとパキスタンのクリケットの試合を観戦しながら、喧嘩になる。「ここで喧嘩しないで、ダンス大会で競ってくれ」と仲介に入るアンナー。
ある日、イナーヤトは、アンナーがレストランの残り物を違法滞在している移民たちに配っていることを知る。違法移民の中には、国に帰りたくても帰れない人たちもいることを知ったイナーヤトは、ダンス大会の賞金10万ドルを彼らのために使いたいと、優勝を勝ち取ることを決意する・・・
イナーヤトは、ダンスをしている時には、はじけていて、服装もお腹が見えたりしているのですが、家に入る前には、そっとスカーフを被ります。パキスタン移民の家族が、ムスリムらしく暮らしている様子が垣間見れます。イナーヤトがダンスをしていることは、もちろん家族には秘密です。
サヘージは、両親の故郷であるインドのパンジャーブに行った時に、近所のシク教徒の青年4人からイギリスに行きたいとせがまれ、仲介業者からお金を貰って、自分のダンスの音楽隊だと偽って、イギリスに入国させます。けれども入国後は彼らと決別してしまいます。
その後、サヘージはライバルチームのイナーヤトが、アンナーを手伝って違法移民の人たちに食事を配っていることを知るのですが、その中に、自分が見捨てたシク教徒の4人がいて驚きます。彼らは仲介業者に言われた場所に行ったものの、仕事は得られず、パスポートも燃やし、髪の毛も切られていました。シク教徒にとって髪の毛を切ることはご法度。涙が出ます。
現在のイギリス首相リシ・スナク氏は、イギリスで初めてのアジア系首相。
父方の祖父母は英領インド帝国パンジャーブ地方のグジュラーンワーラー出身のヒンズー教徒で、印パ分離独立後にはパキスタン領となっています。
二つのダンスチームが、クリケットの観戦をしている時、応援しているのがインドなのかパキスタンなのかで、それぞれのルーツがわかりますが、見た目ではほとんどどっちがどっちかわかりません。 パンジャーブ地方が、印パ分離独立でインド側とパキスタン側に二つに分かれたごとく、広いインド亜大陸。多様な人たちがどっちに属しているかは、歴史的背景があってのことだと感じます。
本作では、イギリスで恵まれない人たちに炊き出しを行っているシク教徒系の団体Nishkam SWAT(Sikh Welfare and Awareness Team)の活動がベースになっていて、最後に実際の彼らの活動が映し出されています。
シク教といえば、お寺でのランガル(パンジャーブ語で無料で食事を提供するという意味)が有名。『聖者たちの食卓』(フィリップ・ウィチュス監督、2011年)を思い出しました。
さて、二つのチームは準決勝まで勝ち進み、いよいよ優勝を競うことになります。
結果は、映画をどうぞご覧ください。(咲)
インディアンムービーウィーク2023パート2 で上映されたものが、一般公開されることになりました。
2020年/インド/ヒンディー語/142分 (*ウルドゥー語も)
日本字幕翻訳:佐藤裕之
配給:SPACEBOX
公式サイト:https://spaceboxjapan.jp/streetdancer/
★2024年3月1日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
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