2024年01月27日
白日青春 生きてこそ(原題:白日青春 The Sunny Side of the Street)
監督・脚本:ラウ・コックルイ(劉國瑞)
プロデューサー:ソイ・チェン(鄭保瑞)
撮影:リョン・ミンカイ
出演:アンソニー・ウォン(チャン・バクヤッ 陳白日)、サハル・ザマン(ハッサン/香港名:モク・チンチョン 莫青春)、エンディ・チョウ(チャン・ホン)、キランジート・ギル(ファティマ)、インダージート・シン(アフメド)
香港のタクシー運転手、チャン・バクヤッは急に知らされた息子の結婚式に間に合うよう急いでいた。70年代に本土から香港に密入国したバクヤッは、妻を亡くし息子とうまくいっていない。交通事故を起こしてしまったバクヤッは、相手方のパキスタン難民のアフメドが死亡したことを知った。彼は10年前から難民申請をして、家族3人でのカナダ移住を待ち望んでいた。母親と残された10歳のハッサンは生活のために、難民のギャンググループに加わってしまう。
いつも不機嫌で誰にでも当たり散らすバクヤッを香港の名優アンソニー・ウォン。粗暴で自分勝手ですが、心底悪い人間ではありません。心深くに悲しみを隠した不器用すぎる人を演じてさすがです。
難民の少年ハッサンを、パキスタン出身で香港在住のサハル・ザマン。アンソニー・ウォンを相手に、少しもひるまずに演じています。この作品が映画デビューとは驚きました!父親を亡くした少年と、ちゃんとした父親になりたいのに、なれずにあがいている男、どちらにも幸あれと願います。
日本より様々な国の人が集まっている香港でも、難民の人たちはこんなに不自由なのだと知って愕然としました。移住の希望がかなえられるまで、正業にもつけません。どうやって食べていけというのでしょう。(白)
息子との葛藤を抱える偏屈なタクシー運転手(陳白日)チャン・バクヤッを演じた黄秋生。バクヤッ自身も大陸から泳いで越境し香港にたどりついた不法入国者なのに、同じようにパキスタンから香港にやってきた難民アフメドにつらくあたる。挙句のはてに事故死までさせてしまう。それなのに相手が不法難民ということで罪を逃れた。とことん自分勝手で無責任な人物だが、アフメドの妻と10歳の息子ハッサンはよけい不利な立場になってしまい、さすがのバクヤッも彼らに手をさしのべる。香港での難民の厳しい状況に、二組の父と息子の関係性を絡めて描いている。
『白日青春』というタイトルは最初わからなかったけど、二人の名前だったということを映画を観た後に知った。学校の授業の中でこの「白日と青春」の二つの言葉が出てくる「苔」(袁枚)という詩が出てくる。この詩の中に監督の思いが込められているような気がする。
白日不到処
青春恰自来
苔花如米小
也学牡丹開
日の当たらないところにも
生命力あふれる春は訪れる
米粒のように小さな苔の花も
高貴な牡丹を学んで咲く
マレーシア出身のコックルイ監督は「この映画は父の愛を渇望する息子と、息子を理解しようともがく父親の物語。自分の移民としての経験や思いを注ぎ込んだ」と語っている。
プロデューサーの任硯聰(ピーター・ヤム)さんの名前に見覚えがあると思ったら、2017年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で『乱世備忘 ― 僕らの雨傘運動』の陳梓桓(チャン・ジーウン)監督にインタビューした時に同席していました。インタビューの後も、香港のことで話が弾みましたし、映画祭の打ち上げの時にもお会いしました。その後、やはり陳梓桓監督の『Blue Island 憂鬱之島』もプロデュースしています。秋生ちゃんにインタビューする機会がありましたが、3人のプロデューサーのうち、主にピーターとやり取りしていたと語っていました(暁)。
アンソニー・ウォン(黄秋生) インタビュー
アンソニー・ウォン(黄秋生) 初日舞台挨拶
Facebookアルバム
『白日青春-生きてこそ-』アンソニー・ウォン インタビュー&初日舞台挨拶
●ラウ・コックルイ(劉國瑞)
台湾の第59回金馬賞 最優秀新人監督賞、最優秀オリジナル脚本賞を受賞
●アンソニー・ウォン(黃秋生)
台湾の第59回金馬賞 最優秀主演男優賞を受賞
●サハル・ザマン(林諾/ Sahal Zaman)
第41回香港電影金像奨 最優秀新人俳優賞を受賞
2022年/香港/カラー/シネスコ/111分
配給:武蔵野エンタテインメント
PETRA Films Pte Ltd (C)2022
https://hs-ikite-movie.musashino-k.jp/
★2024年1月26日(金)ロードショー
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