2024年01月21日
哀れなるものたち(原題:Poor Things)
監督:ヨルゴス・ランティモス
原作:アラスター・グレイ「哀れなるものたち」(早川書房刊)
脚本:トニー・マクナマラ
撮影:ロビー・ライアン
音楽:イェルスキン・フェンドリックス
出演:エマ・ストーン(ベラ・バクスター)、マーク・ラファロ(ダンカン・ウェダバーン)、ウィレム・デフォー(ゴッドウィン・バクスター)、ラミー・ユセフ(マックス)
身投げをした若い女性は、天才外科医のゴッドウィン・バクスター博士によって蘇った。博士は自分の娘ベラとして溺愛、助手のマックスに記録を命じる。家から出てはいけないと言われていたが、急速に知識を吸収したベラは、外の世界に出ることを渇望する。博士が招いたダンカン・ウェダバーン弁護士と共に、大陸横断の冒険旅行に出る。放蕩もののダンカンは、無垢なベラを愛人として扱うが、ベラの旺盛な好奇心はダンカンに縛られなかった。船の中で人々と知り合い、本を読み、停泊した先では貧困を目にして社会への扉を開いていく。
ヨルゴス・ランティモス監督は『女王陛下のお気に入り』(2018)以来の再びのタッグ。黒髪に濃い眉、ひたとこちらを見つめるベラのポスターは、真実を見たいという迫力を感じます。大人の身体に子どもの心を持ったベラは、初めこそ博士やダンカンに守られていますが、自分の心が成長していくにしたがい自由と自我に目覚めていきます。
奇妙な動物たちをはじめ、ヴィクトリア朝時代の街や豪華客船などの美術、ベラが着こなすカラフルで突飛なデザインのドレスやパンツなどに目を奪われます。新しい知識に触れ、世界がひろがっていくたび純粋に喜ぶベラ。これを始まりから演じるエマ・ストーンがすごい! 摩訶不思議な世界で女性が成長していくお話。それはそれはもう小気味いいほどです。
バクスター博士は、つぎはぎでフランケンシュタインのような容貌です。思い出すのは、小説「フランケンシュタイン」を20歳前に書いた、メアリー・シェリー。彼女の実父の名前はゴドウィン、博士と同じです。実母のメアリ・ウルストンクラフトは、フェミニズムの先駆者。女性の権利や男女の同権、教育の平等について提唱した女性であったそうです。
原作のアラスター・グレイはそのあたりを下敷きにして書いたのでしょうか。原作も読んでみたいです。(白)
●第80回ベネチア国際映画祭コンペティション部門 金獅子賞受賞
●第81回ゴールデングローブ賞 ミュージカル・コメディ部門 作品賞、主演女優賞(エマ・ストーン)受賞
2023年/アメリカ/カラー/シネスコ/142分/R18+
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
https://www.searchlightpictures.jp/movies/poorthings
★2024年1月26日(金)ロードショー
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