2024年01月07日

燈火(ネオン)は消えず 原題:燈火闌珊 英題:A Light Never Goes Out

2024年1月12日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シネマート新宿他
全国順次公開 その他の劇場情報

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©2022 A Light Never Goes Out Limited All Rights Reserved


第59回金馬奨最優秀主演女優賞(シルヴィア・チャン)
第96回米アカデミー賞国際長編映画賞香港代表作品

2022年の東京国際映画祭では『消えゆく燈火』のタイトルで上映され、中華圏映画ファンの観客の大きな話題になった作品。
台湾金馬奨で、主演のシルヴィア・チャンが『最愛』(1986年)以来36年ぶり3度目の主演女優賞に輝いた他、数々の賞を受賞。第 96 回アメリカのアカデミー賞国際長編映画賞の香港代表作品に選出された。その際、シルヴィア・チャンが語った「香港のネオンをふたたび灯しましょう!」という言葉と、香港ネオン職人たちの思いに共感し、邦題を『燈火(ネオン)は消えず』にした。

監督・脚本:曾憲寧(アナスタシア・ツァン)
製作:張艾嘉(シルヴィア・チャン
プロデユーサー:陳心遙(サヴィル・チャン)
撮影:梁銘佳(リョン・ミンカイ)
美術:莫少宗(アレックス・モク)
編集:陳序慶(ノーズ・チャン)
音楽:黃艾倫(アラン・ウォン)、翁瑋盈 (ジャネット・ユン)
出演
メイヒョン:張艾嘉(シルヴィア・チャン)
ビル:任達華 (サイモン・ヤム)
レオ:周漢寧(チャウ・ホンネン)ヘニック・チャウ
チョイホン(娘):蔡思韵(セシリア・チョイ)

香港では2010年の建築法等の改正以来、2020年までに9割ものネオンサインが姿を消したと言われる。香港独自の文化が少しづつ消えてゆく今、その灯を消すまいと奮闘する香港人の心意気と、ネオン職人たちによる映画のラストサプライズが大きな感動を呼んだ。

メイヒョン(シルヴィア・チャン)は、腕ききのネオンサイン職人だった夫のビル(サイモン・ヤム)の死後、夫のネオン制作工房の鍵をみつけた。工房に行ってみると見知らぬ青年レオ(ヘニック・チャウ)がいた。ビルの弟子だという。そしてビルがやり残した仕事があるという。最初は取り合わず、工房を閉めようとするが、レオに教わって自分もガラスでネオン細工をやってみる。そして、この技術を残すことと、夫が残した仕事とは何だったのかを調べ始める。夫がやり残したものがわかり、レオとともに最後のネオンを完成させようと決意する。香港の夜景の象徴だったネオンサインがほとんど消えた中で、CGで表現したり、職人が新たに作り直すなどしてネオンサインを再現。
妻役のシルヴィア・チャンは台湾出身、台湾・香港映画界で活躍してきた。『過ぎゆく時の中で』『妻の愛、娘の時』『レッド・バイオリン』などの作品に出演。監督作も8作あり、『妻の愛、娘の時』は、2017年台湾金馬奨監督賞を受賞している。夫役のサイモン・ヤムはモデル出身の俳優。『ワイルド・ブリット』『夜と霧(天水圍的夜與霧)』『ザ・ミッション 非情の掟』などに出演。娘役のセシリア・チョイは『返校 言葉が消えた日』で注目され、現在公開中の『香港の流れ者たち』にも出演。ヘニック・チャウは『アニタ』に出演。

私が初めて香港に行ったのは1994年。その時は、香港のメインストリートである彌敦道(ネイザンロード)にも、その他の道路にも、道にはみ出した看板(ネオンサインも含む)がずっと続いていて、その光景にびっくりした。夜になると光り輝き、きらびやかなネオンが派手さを競っていた。2階建てバスに乗り、それらの道を行くと、まるで頭にぶつかりそうになるくらいの感じだった。その後、3、4年に1回くらい行っていた。この30年のあいだに計13回香港に行っているが、この派手なネオンサインが2020年までの間に90%も無くなっていたということは、この映画を観るまで認識していなかった。2010年以降には3回くらい行っているが、道路にせり出した看板(ネオンサイン)はいつのまにかなくなっていたんですね。もっとも観光主体で行ったことはなく、コンサートや香港アカデミー賞の授賞式取材、香港映画祭などで行っているので、あまり街中を歩きまわったり、走り回ったりしてはいなかったので気がつかなかったというのもあるかもしれない。13回目、2018年に行った時、初めて観光らしきことをした。初めて銅鑼湾(コーズウェイベイ)ー 堅尼地城(ケネディタウン)間を2階建てトラム(電車)に乗って、トラム沿いの街の景色を楽しんだ。道路脇にはたくさんの店が続いていたけど、昔あった道路に飛び出た看板やネオンサインはなかった。こういうものは気にしていなければ、気がつかないものだとつくづく思った。
そういえば、1月4日に『いますぐ抱きしめたい』(1991年日本公開)のデジタルリマスター版を観に行った時に、この映画の中でいくつものネオンサインが出ていた。思えば、香港映画の中でたくさんのネオンサインを観てきた。今は映画の中でしか観ることができなくなってしまったネオンサイン。100万ドルの夜景とも言われる香港の夜景だが、象徴でありながら廃れゆくネオンサインそのものを題材にした映画はなかった。この作品は、とても良い題材であり、家族の物語だった(暁)。


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左 サヴィル・チャンプロデユーサー 右 アナスタシア・ツァン監督
2022年第35回東京国際映画祭にて


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香港トラムからの景色(中環セントラルよりケネディタウン寄り?)
2018年6月
撮影:宮崎暁美


公式HP https://moviola.jp/neonwakiezu/#modal
2022年/香港映画/103分
配給:ムヴィオラ

posted by akemi at 21:03| Comment(0) | 香港 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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