監督:湊寛
取材・編集:堀威
撮影:芦崎秀樹・目黒悦男
音楽:阿南亮子
ナレーション:柴田平美(北海道文化放送アナウンサー)
語り:安田顕
出演:サムソン宮本、オッサンタイガー、TOMOYA、MCマーシー、ねね様、アンドレザ・ジャイアントパンダ 他
”新根室プロレス”は、市内でおもちゃ屋を営むサムソン宮本が2006年に立ち上げた。宮本のプロレス愛と地元愛がさく裂して、100万円のリングも購入。メンバーを集めて神社のお祭りなどで興行をうち、地元の人々を楽しませてきた。集まったメンバーも宮本と同じプロレス好き、本業のかたわらトレーニングに励んだ。サムソンは一人人地にリングネームをつけ、覆面や衣装を考案「無理しない ケガしない 明日も仕事!」をモットーに、個性的なメンバーはイケてなかった過去など蹴り飛ばし、光り輝いていった。
しかし、地元に愛され人気者になっていった2019年9月、宮本は治療不可能な難病に侵されたことを発表、涙の解散宣言をした。
世のプロレス好きのお父さん、お兄さん、いや私のおばあちゃんも好きだったなと思い出しました。エンターテイメントと知りつつ、テレビの前で熱く応援していた人は多いですよね。そんなプロレス愛の塊のようなサムソン宮本さんと仲間たちを映像に残したのは、北海道文化放送(uhb)です。初めはニュース映像として取材したのが、テレビ版ドキュメンタリーとなり、数々の賞を受賞。このたびそれをもとに映画化されました。
宮本さんの娘さんがなんとも恥ずかし気でしたが、まさに命がけの引退試合に臨んだお父さんには力いっぱいの声援を送ります。リング上ではコミカルなパフォーマンスが続いているのですが、私も涙と鼻水をふきふき見守りました。こんな風に映像に残ってよかったですね、サムソン宮本さん、新根室プロレスの皆様。(白)
プロレスやボクシングなどの格闘技自体は好きじゃないのに、格闘技を描いた映画には、結構惹かれます。筆頭は、『反則王』(2000年)。ソン・ガンホ演じる銀行員が、なんでもありの覆面プロレスラーとして活躍する物語。ほんと、笑いました。『あゝ、荒野』では、ボクシングに挑む菅田将暉とヤン・イクチュンを息を殺して見守りました。劇映画より、さらに心に沁みるのが格闘技に挑む人を描いたドキュメンタリー。『ジョーのあした 辰吉丈一郎との20年』や『オリ・マキの人生で最も幸せな日』などを思い出します。一つのことに打ち込む姿に胸を打たれます。
本作も、大好きなプロレスで、皆を楽しませたいという宮本さんはじめ根室の皆さんの姿が素敵でした。残念ながら宮本さんはこの世を去ってしまいましたが、プロレスの楽しさが忘れられない人たちのこと、若いメガネのプリンスTOMOYAさんを中心に、きっとこれからも新根室プロレス、いえ、真根室プロレスとして皆を楽しませてくれるでしょう!(咲)
2024年/日本/カラー/DCP/79分
配給:太秦
(C)北海道文化放送
http://new-nemuro-pro-wrestling-movie.com/
★2024年1月2日(火)ポレポレ東中野
★2024年1月6日(土)シアターキノほか全国順次公開
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