2023年12月24日

アンブッシュ  原題:Al Kameen  英題:The Ambush

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監督:ピエール・モレル(『96時間』)
出演:マルワーン・アブドゥッラ・サーリフ、 ハリーファ・アル・ジャースィム、 ムハンマド・アフマド、 アブドゥッラ・サイード・ビン・ハイダル ほか

2018年、イエメン南部に駐在しているUAE軍のアリ、ビラル、ヒンダシの3人。最新兵器で武装した装甲車で戦闘地帯の住民へ支援物資を運びながら、渓谷部をパトロールしていた時、敵に待ち伏せされ、突然襲われる。ゲリラ戦になり、アリたちは渓谷に隠れながらRPG(ロケット弾)や離れた場所からの狙撃を受け、次第に孤立し追いつめられていく。UAE軍は通信機器も使えない仲間を救うため、装甲車、ドローン、ヘリコプター、戦闘機、と総力を挙げて戦地に向かう・・・

2015年から今も続くイエメン内戦の中で起こったUAE軍の軍人が亡くなった実話をもとに描いた戦争アクション映画。
なぜイエメンで内戦が続いているのかについての言及がないので、奇襲(アンブッシュ)に対して果敢に戦った兵士を描いたUAEのプロパガンダ映画という様相は否めません。

1996年の年末にイエメンを訪れ、ほんの6日間ですが南北各地を回りました。1990年に南北イエメンが統一し、1994年に内戦が起こったものの落ち着いた時期でした。
北イエメンの山岳地帯では山の上に城壁のように4~5階建ての石造りの家が並んでいました。首都サナアなど平地にある家も同じく高層の石造りで1階には窓がなく、敵から攻められない造り。
山岳地帯では、谷の下に商店などがあり、谷底では戦わないという暗黙の了解。争いごとが起こった時には、谷底でお互いの長がまず話し合うと聞いたことがあります。かつて「幸福のアラビア」と呼ばれ交易で繁栄したイエメンですが、もともと部族間や宗派間の対立が多かった地。彼らなりの秩序を保つ方法が長年あったはず。
2015年、北イエメンの北部を拠点としたシーア派武装組織フーシ派がイエメンからの分離独立を主張して武装蜂起。イランが支援していると言われ、サウディアラビアを始めとするスンニ派アラブ諸国がハーディー政権を後押し。いまだ内戦状態が続いています。
ロシアのウクライナ侵攻、そしてイスラエルのパレスチナ・ガザ地区侵攻で、すっかり忘れ去られているイエメン内戦のことを、この映画を機に思い起こしていただければと思います。周辺国が関わることで、内戦が決して終わらないことも!(咲)


2021年/アラブ首長国連邦・フランス/アラビア語/111分/カラー/シネマスコープ/5.1ch
字幕翻訳:髙橋彩、字幕監修:大久保義信
配給:クロックワークス
公式サイト https://klockworx-v.com/ambush/
★2023年12月29日(金)より新宿バルト9ほか全国公開

posted by sakiko at 14:15| Comment(0) | アラブ首長国連邦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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