2023年12月20日

ちっちゃいサムライ 三浦正雄の子供時代 

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©Studio-D

監督・脚本・製作総指揮:佐野 伸寿 
カザフスタン側監督:エルラン・ヌルムハムベトフ
撮影監督:ムラト・ヌグマノフ 
音声監督:アンドレイ・ウラズネフ 
写真:松元隼人 
出演: アクタン・アリム・クバト サマル・イスリャモヴァ ダレジャン・ウミルバエフ 佐野史将 小笠原瑛作 三浦ニーナ

14歳でたったひとりカザフスタンに送られ、バルハシ湖・イリ河流域で生き抜いた三浦正雄の子供時代

三浦正雄さん、1932年樺太生まれ。1945年、ソ連軍侵攻。父たちと別れ北海道に避難したが、家族を探しに小型船で樺太に向かう。国境侵犯容疑でソ連軍に逮捕され、1年6ヶ月、刑務所で服役。その後、3年の強制労働を命じられ、カザフスタンのコルホーズに送られる。漁師の助手としての仕事を与えられ、努力家だった三浦さんは漁業だけでなく狩猟の技術も習得。最終的には最良の猟師が任命されるイリ・バルハシ地区の自然監督官を務めた。ソ連崩壊後、1995年一時帰国を果たす。2002年、心臓を患っていた妻ニーナさんの治療を日本で行いたいと永住帰国。

モノクロで描かれる三浦さんの少年時代。コルホーズの所長夫妻は、三浦少年を学校に通わせたいと思うのですが、当局に知られると罰せられることから、出来るだけきびしくない仕事をと、キルギス人の漁師ウビライに三浦少年を託します。
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©Studio-D
このウビライを演じているのが、『父は憶えている』が公開中のアクタン・アリム・クバト監督。何気ないながら、圧倒的な存在感です。三浦少年が「スパシーバ」とロシア語でありがとうと言うと、「ラフマットと言いなさい」と、カザフ語・キルギス語など中央アジアの言葉でのありがとうを教えます。三浦少年が熱を出した時には、草に火をつけて煙を頭上で回します。

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©Studio-D
コルホーズの所長夫人マリヤムを演じたサマル・イスリャモヴァは、カザフスタンの国民女優。東京国際映画祭グランプリ作品『トルパン』で映画デビュー。2018年、主演作品『アイカ』でカンヌ国際映画祭主演女優賞受賞。モデルとなった実在の方は、映画のように急な転勤を命じられ、そこで夫婦ともに逮捕され、二人とも強制収容所で亡くなっているとのこと。
映画は、危険を感じた所長夫妻が、ウビライに三浦少年を連れて出来るだけ遠くに逃げてほしいと頼み、船を漕ぎだしたところで終わるのですが、この後、第二部がカラーで始まります。
2022年1月19日家族に看取られ、札幌で亡くなられた三浦さんを偲んで、奥様の三浦ニーナさんが語る姿が映し出されます。17歳で三浦さんと結婚したニーナさん。三浦さんと過ごした52年はとても幸せだったと語ります。いい伴侶に恵まれたことを知り、救われる思いでしたが、14歳の少年を逮捕し強制労働させたソ連の無慈悲さに涙が出ます。
イスラエルは、少年たちをも投石したことでテロリストとして逮捕し続けています。なぜ投石するに至ったかに思いも寄せず! 子どもまでをも容疑者にする政府は、いつの時代も戦争をやめない悪だと思います。(咲)



2023年/カザフスタン・日本・キルギス/110分/1.85:1/白黒・カラー/DCP/G
製作総指揮:Studio-D 
日本側製作:蒼龍舎 
カザフスタン側製作:Film Film Film 
支援:AFF2 文化庁 
配給:Studio-D JAPAN 配給協力:UPLINK
公式サイト:https://ahiko-samurai.com/
★2023年12月22日(金)よりUPLINK吉祥寺ほか全国順次ロードショー

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◆同時公開:『阿彦哲郎物語 戦争の囚われ人』 

posted by sakiko at 10:19| Comment(0) | カザフスタン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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