2023年12月16日

ティル(原題:TILL)

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監督:シノニエ・チュクウ
脚本:マイケル・レイリー、キース・ボーチャンプ、シノニエ・チュクウ
撮影:ボビー・ブコウスキー
出演:ダニエル・デッドワイラー(メイミー・ティル)、ジェイリン・ホール(エメット・ティル)
フランキー・フェイソン、ヘイリー・ベネット(キャロリン)、ウーピー・ゴールドバーグ(アルマ)

1955 年、イリノイ州シカゴ。メイミー・ティルは、夫が戦死して以来唯一の黒人女性として空軍で働いている。夫の忘れ形見の一人息子・ボボことエメットは明るく元気な少年に育った。14歳のボボはもう大きくなったから、とミシシッピ州の親類の家を一人で訪ねると主張する。祖母のアルマも大人になるいい機会だからと、ボボを後押しし、メイミーは南部の黒人差別をよく説明して送り出した。
しかし、ボボはマネーの雑貨店で、店番の白人の女の子キャロリンに話しかけたことで、怒りをかってしまう。白人の男たちに寝ているところを襲われ、連れ去られてしまう。リンチを受けた後遺体は川に投げ捨てられた。我が子と対面したメイミーは、変わり果てた愛息子の姿に、悲しみと怒りで打ちのめされる。メイミーは、思いがけない行動に出て、大きな感動と社会を動かすエネルギーを呼び起こしていく。

1955 年 8 ⽉ 28 ⽇にアメリカ合衆国ミシシッピ州マネーで実際に起きた「エメット・ティル殺害事件」を元に映画化しました。映画の冒頭では、陽気で屈託のない一人息子と母との生活が紹介され、亡き夫の分までもメイミーが息子を愛情いっぱいに育てたことがわかります。南部へ出かけることの懸念は当たってしまい、惨殺された息子に会ったメイミーの悲しみは想像すらできません。
事件に関わった男二人は逮捕され、裁判はあったものの陪審員は全て白人。すぐに無罪になってしまいます。のちにジャーナリストに殺したことを認めますが、その間罪の意識に苛まれることはなかったのでしょうか。口笛を吹かれたと怒ったキャロリンは、事実を隠して嘘の証言をしましたが、罪に問われることもなく今年亡くなったそうです。映画は母親メイミーの勇気ある行動と、その後を描いています。
観ているだけで胸が苦しくなるような内容ですが、観て少しでも知らなければ申し訳ない気がしました。エメット・ティルの事件は、黒人の公民権運動に大きな影響を与えました。80年近く経ってどれほ変わったでしょう?いまだ差別の感情が残っていることは、その後の事件を見ても明らかです。なんと根深いのだろうと溜息が出るばかり。
祖母のアルマを演じるウーピー・ゴールドバーグが制作にもあたっています。(白)


2022年/アメリカ/カラー/シネスコ/130分
配給:パルコ
(C)2022 Orion Releasing LLC. All rights reserved.
https://www.universalpictures.jp/micro/till
★2023年12月15日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開中

posted by shiraishi at 00:01| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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