監督:戸田彬弘
原作:戸田彬弘
脚本:上村奈帆 戸田彬弘
撮影:春木康輔
出演:杉咲花(川辺市子)、若葉竜也(長谷川義則)、森永悠希(北秀和)、渡辺大知(小泉雅雄)、宇野祥平(後藤修治)、中村ゆり(川辺なつみ)、中田青渚(吉田キキ)、石川瑠華(北見冬子)、倉悠貴(田中宗介)、大浦千佳(山本さつき)
川辺市子は恋人の長谷川義則と3年間暮らしている。つましくも幸せな日々が続いていたある日、義則のプロポーズに市子は「嬉しい」と涙する。しかし翌日大急ぎで荷造りする市子は、義則の足音が聞こえたとたんベランダから逃げ出してしまう。義則はたった今までそこにいたはずの市子がなぜ消えたのか、見当もつかない。後藤という刑事は義則に市子の写真を差し出し「この女性は誰なのでしょうか」と尋ねる。義則はわずか残されたつてをたどって、市子の行方を探し続ける。
戸田彬弘監督が主催する”劇団チーズtheater”旗揚げ公演作品「川辺市子のために」が原作。市子の失踪に観客も義則と同じく、疑問に包まれます。市子が過去に関わった人の口から少しずつ明らかになり、かつては違う名前であったことがわかります。こういう人生を送る人がいるのか、と痛ましい気持ちがわいてきました。舞台版では市子を探す人、市子を語る人が登場して市子は姿を見せないのだそうです。そこにいなかった人が映画では輪郭や感情を持って登場して、消えてしまいます。さまざまな事情で隠れざるを得ない人、本当の姿で暮らせない人、いるのでしょうね。そんな中で生きていくことは、辛いですよね。生きるよすがとなる何かがありますように。
杉咲花さんの強い意志のある視線に、あるよねとホッとします。(白)
2022年/日本/カラー/シネスコ/126分
配給:ハピネットファントム・スタジオ
(C)2023 映画「市子」製作委員会
https://happinet-phantom.com/ichiko-movie/
★2023年12月8日(金)テアトル新宿、TOHOシネマズシャンテほか全国公開
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