2023年11月11日

正欲

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監督:岸善幸
原作:朝井リョウ「正欲」新潮文庫刊
脚本:港岳彦
撮影:夏海光造
音楽:岩代太郎
主題歌:Vaundy「呼吸のように」(C)SDR
出演:稲垣吾郎(寺井啓喜)、新垣結衣(桐生夏月)、磯村勇斗(佐々木佳道)、佐藤寛太(諸橋大也)、東野絢香(神戸八重子)、山田真歩(寺井由美)、宇野祥平(細川秀己)、渡辺大知(西山修)、徳永えり(那須沙保里)、岩瀬亮(矢田部洋平)

検事の寺井啓喜(てらい・ひろき)は、一人息子の不登校で妻の由美とたびたび衝突している。
ショッピングモールで働く桐生夏月(きりゅう・なつき)は、結婚していく友人を横目に実家暮らしを続けている。中学で転校していったのに、強い印象の残っていた佐々木佳道(ささき・よしみち)が地元に戻っていることを耳にする。ダンスサークルの諸橋大也(もろはし・だいや)は学園祭のイベントに出演を打診される。計画したのは諸橋が気になってしかたのない神戸八重子(かんべ・やえこ)。
別々の場所、環境で暮らしていた5人は少しずつ交差し、思わぬ関わりができていく。

新垣結衣さんは「逃げ恥」こと「逃げるは恥だが役に立つ」(2021年TBSドラマ)で大ブレイク、あのダンスと明るい笑顔が印象的でした。ところがこの作品では笑顔を封印、誰?と見違えてしまいました。「多様性」がさまざまな作品で取り上げられますが、この作品では一番語りにくいだろう「性的指向」について描かれています。稲垣吾郎さん演じる寺井検事は法にのっとり、罪を糾弾する仕事です。感覚はごく一般的な男性で、息子にも男の子らしさを求めています。
佐々木佳道と仕事で関わることになりますが、彼らの欲望はまったく理解できません。それまでに宇野祥平さん演じる部下が、たびたびとても大事なことを言うのに、それも聞き流してしまいます。観客を代弁するような人物がところどころに配されて、他人の目と無理解、溝があらわになっていきます。「普通」とよく口に出しますが、人によってモノサシが違うように「普通」も違うはず。
誰もが自分を、自分の生き方を尊重してもらいたいと思うでしょう。誰かを傷つけたり、悲しませたりしないことを前提に、他の人の生き方も尊重したいと思いました。寺井と夏月とがたまたま出会う1シーンがありました。それが小さな灯りになった気がします。(白)

第36回東京国際映画祭 監督賞,観客賞をW受賞

2023年/日本/カラー/ヴィスタ/134分
配給:ビターズエンド
(C)2021 朝井リョウ/新潮社 (C)2023「正欲」製作委員会
https://bitters.co.jp/seiyoku/#modal
★2023年11月10日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 01:11| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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