原作・監督・脚本:塩田明彦
製作:中西一雄 小林敏之 小西啓介
プロデューサー:小室直子
共同プロデューサー:関口周平
ラインプロデューサー:松田広子
出演:内野聖陽(芳賀一郎)、北香那(春野弓子)、柄本佑(辻村俊介)、白川和子(本郷絹代)、安達祐実(藤村一葉)
退屈な日々を過ごしていた春野弓子は、変わり者と評判の芳賀一郎の家に通うことになった。芳賀は最愛の妻に先立たれ、世捨て人のように暮らしていたが知る人ぞ知る「春画」研究者だった。弓子は代々芳賀家で働くお手伝いの絹代に指導されつつ、芳賀の研究に興味を持っていく。
江戸人の性愛をおおらかに描いた「春画」を目にしたのは初めてだったが、芳賀の解説を聞くうちその面白さ、奥深さに目覚めていった。知識を吸収する弓子はいつしか芳賀の空いた心の穴を埋め、弓子は芳賀に恋心を抱くようになった。
内野聖陽さんはテレビドラマ「きのう何食べた?」でそれまでの男っぽいイメージを覆しました。本作では支えだった妻を失って、意気消沈している研究者役です。生き生きするのは、偏愛する春画の話をするときだけ。弓子が愛弟子となっていくのがこの上なく嬉しい人です。師弟で相思相愛になるのか、というところに登場するのが、亡き妻の姉・一葉。演じる安達祐実さんがこの上なく妖艶で、いやまあびっくり。別の作品で花魁姿も観ていましたが、お人形のような愛らしさが勝っていて、今回の大人の色気ではなかった記憶があります。
あまり身なりも構わないような芳賀先生、出入りする編集者・辻村役の柄本佑さんもなんだかやたら色っぽく見えるのは、みんな春画の醸し出す空気に洗われたのでしょうか。一葉の刺激もプラスに転じ、大人の女性として成長していく弓子をご覧ください。偏愛する人々がだんだん愛しくなっても、恥ずかしくありません。自分も仲間入りすればいいんです。
ドキュメンタリー『春画と日本人』(2019)を以前ご紹介しましたが、商業映画としては初めて無修正の浮世絵春画がスクリーンに登場します。ご留意のほど。(白)
2023年/日本/カラー/ビスタ/5.1ch/114 分 <R15+>
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
Ⓒ2023「春画先生」製作委員会
https://happinet-phantom.com/shunga-movie
★2023年10月13日(金)全国ロードショー
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