監督:冨永昌敬
原作:「白鍵と黒鍵の間に -ジャズピアニスト・エレジー銀座編」南博著
脚本:冨永昌敬監督、高橋知由
撮影:三村和弘
音楽:魚返明未
出演:池松壮亮(南、博)、仲里依紗(千香子)、森田剛(あいつ)、高橋和也(三木)、クリスタル・ケイ(リサ)、松尾貴史(熊野)、松丸契(K助)、川瀬陽太(曽根)、杉山ひこひこ(門松)、中山来未(Y子)、佐野史郎(宅見)、洞口依子(母親)
昭和63年、年の瀬の銀座。キャバレーの酔客を前にピアノを弾く博は、ふらりと入って来た客に『ゴッドファーザー』のテー曲をリクエストされた。その曲だけはダメと同僚に注意されるが、なぜかわからない。実は銀座界隈を牛耳る熊野会長だけがリクエストしていい曲、しかも演奏するのは、会長お気に入りのピアニストの南だけという暗黙の了解があった。
原作者の南博氏がモデルの主人公を、ジャズピアニストの夢を追っている若い"博"と、すでに夢など見失ってしまったベテランの”南”の二人に分けて登場させています。原作では一人の人物、生きる時間も違う二人を池松壮亮さんが演じ分けているのが見どころ。ピアノも猛特訓されたそうです。ご期待あれ。
夜の仕事にどっぷりつかった三木を演じるのは高橋和也さん。『新聞記者』での苦悩する役が記憶に残っています。刑務所から出て来たばかりの男に森田剛さん。有村架純さんと共演した『前科者』が浮かびます。本作では禁断の曲をリクエストして、博の行く道に影響を与えてしまいます。高橋和也さん、森田剛さんともアイドルだった若い時から観ていますが、今哀愁も自然ににじみ出る年代になりました。
ところどころで、サックスを吹く男性が登場して”耳”がひきつけられます。この人は誰?と思ったら松丸契(まつまるけい)さんというプロのサックス奏者の方でした。クリスタル・ケイさんの歌もたっぷり聞けます。
背景の昭和63年は昭和天皇が病床にあり、毎日ニュースで報告されて、この年の瀬は特別でした(年明けた1月7日に崩御。昭和64年は7日間でした)。そんなことなど思い出しながら、拝見した作品。(白)
2023年/日本/カラー/シネスコ/94分
配給:東京テアトル
(C)2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
https://hakkentokokken.com/
★2023年10月6日(金)ロードショー
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