2023年10月01日

旅するローマ教皇   原題:In Viaggio

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(C)2022 21Uno Film srl Stemal Entertainment srl


脚本・監督:ジャンフランコ・ロージ(『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』『海は燃えている~イタリア最南端の小さな島~』『国境の夜想曲』

第266代ローマ教皇フランシスコ
本名:ホルヘ・マリオ・ベルゴリオ
1936年12月17日、イタリアからの移民の子として、アルゼンチンのブエノスアイレスで生まれる。

教皇フランシスコは 9年で37回 旅に出た。
53か国を歴訪し 重要な問題について発言した。
連帯と尊厳 貧困と難民を語り 戦争を非難した。

本作は2013年のイタリア、ランペドゥーサ島から始まり、2022年の新型コロナウイルスのパンデミック下のマルタの訪問で終わる。難民問題、紛争に苦しむ中東やアフリカ、アメリカでは平和について語り、世界で唯一の被爆国である日本では黙とうを捧げる。森林火災、台風など自然災害を受けた土地を訪れ環境問題を語り、イスラム教や正教会の指導者と会見し融和を訴える。カトリック教会で起きた性的虐待については謝罪する・・・。

ローマ教皇と共に世界各地を巡り、様々な問題を知る83分。
印象深い言葉や場面がいくつもあります。イスラエルを訪れた時には、上空から見える分離壁と入植地に圧倒され、パレスチナ側で高く立ちはだかる分離壁に手を置き祈る姿にじ~んとさせられました。アルメニアで、1915年に起きたアルメニア人虐殺について語ったことから、トルコのエルドアン大統領との間に気まずい沈黙の時が流れます。
2019年のアラブ首長国連邦訪問は、ローマ教皇として初めてのイスラーム発祥の地であるアラビア半島入り。2021年のイラクでは、シーア派最高権威シスタニ師を訪問しますが、ここでも沈黙の時。こうした他宗教との対話を積極的にはかる姿を、他者とは融和をはかろうとしない人たちに見てほしいものです。(咲)


世界中を旅するローマ教皇を通して、世界で今何が起きているのかを知り、旅を通して見えてくる世界の痛み、未来への希望。「戦争は狂気です 貪欲と非寛容 そして権力欲は戦争を決断させる動機になります。戦争は貧困しか生みません。兵器は死そのものです。共に未来を築かなければ私たちに未来はないのです。夢を見続けましょう」と語る教皇。フランシスコ教皇の言葉は現在の世界情勢を映し出し、私たちの心を揺さぶる(暁)。

第79回ヴェネチア国際映画祭 アウト・オブ・コンペティション部門 正式出品

2 0 2 2 年/イタリア/カラー/ 1 :1 . 8 5/5.1 c h /8 3 分/イタリア語、スペイン語、英語
日本語字幕:鈴木昭裕
資料監修:土肥秀行
カトリック中央協議会 広報推薦
配給:ビターズ・エンド
公式サイト:https://www.bitters.co.jp/tabisuru/
★2023年10月6日(金)よりBunkamuraル・シネマ渋谷宮下、新宿武蔵野館ほかで全国ロードショー
posted by sakiko at 04:04| Comment(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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