2023年09月24日
ヒッチコックの映画術 原題: My Name Is Alfred Hitchcock
監督:マーク・カズンズ
“サスペンス映画の神様”アルフレッド・ヒッチコック。1899年8月13日ロンドン郊外に生まれ、厳格なカトリックの家庭で育った。1915年、ヘンリー電信ケーブル会社に入社し、広告部門で製図工からデザイナーとなる。1920年にイズリントン撮影所へ入所後、サイレント映画の字幕制作を手掛けるようになり、やがて脚本や助監督を担当。ヒットメイカーとして君臨。イギリス映画界初のトーキー映画となった『恐喝(ゆすり)』(29)を監督する。イギリス映画界からハリウッドへ渡ってからも、監督作の『レベッカ』(40)が第13回アカデミー賞で作品賞を受賞するなど、輝かしいフィルモグラフィを積み上げてきた。50年代に全盛期を迎え、1957年からは「ヒッチコック劇場」でテレビの世界にも進出。
サイレント映画からトーキー映画、モノクロ映画からカラー映画への移行、映画の画面比率がスタンダードサイズから大型してゆく変遷や、テレビの台頭による映画産業の斜陽化。さらには映画が3D化する時代にも遭遇するなど、ヒッチコックの映画人生は映画の歴史と共に歩んできた。1979年にはイギリス王室からナイト<サー>の爵位を受けた。1980年にハリウッドで亡くなる。
未完成に終わった幻の監督デビュー作「Number 13」(1922)の監督デビューから100年。ヒッチコック作品は今なお映画を愛する者たちを魅了し続けている。本作は「本人」が自身の監督作の裏側を紐解くスタイルで、その“面白さの秘密”を解き明かしていく。
10代の頃に、テレビで放映されていた「ヒッチコック劇場」を毎週楽しみに観ていて、それがまさしくこの映画のように、ヒッチコック自らがナビゲートする形。最初と最後に必ず出てきて語るので、大柄で特徴のある姿は目に焼き付きました。30分の短い番組でしたが、毎回、謎解きの後に、諭すように人生訓を語るのが面白かったものです。もっとも、当時は日本語吹き替えでヒッチコック本人の声ではありませんでしたが。
映画の冒頭で、「脚本&ナレーション:アルフレッド・ヒッチコック」と出てきます。どんな風に、本人の声を紡いだのかしら?と思ったら、最後に種明かし。物真似名人の俳優アリステア・マクゴーワンがヒッチコックの声を担当されたとのこと。すっかり騙されました。
本作では、これまであまり観たことのなかったイギリス時代の作品から、『ダイヤルMを廻せ!』『裏窓』『めまい』『鳥』などお馴染みのハリウッド時代の作品まで、数多くの名作を垣間見ながら、ヒッチコックの遊び心に富んだ映画作りの秘密を知ることが出来ました。(咲)
2022年/イギリス/英語/120分/カラー/1:1.78/5.1ch
字幕翻訳: 小森亜貴子
配給: シンカ
公式サイト:https://synca.jp/hitchcock
★2023年9月29日(金)新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA、角川シネマ有楽町ほか全国公開
【本作で引用されるヒッチコック作品】
※年代順、(未)=日本劇場未公開(特集上映等は除く)、(TV)=TV映画
<イギリス時代 サイレント作品>
『快楽の園』(1925)The Pleasure Garden
『下宿人』(1927)The Lodger
『ダウンヒル』(1927)Downhill
『リング』(1927)The Ring
『農夫の妻』(1928)The Farmer’s Wife
『シャンパーニュ』(1928)Champagne
『マンクスマン』(1929)The Manxman
<イギリス時代 トーキー作品>
『恐喝(ゆすり)』(1929)Blackmail
『ジュノーと孔雀』(1930)Juno And The Paycock (未)
『殺人!』(1930)Murder! (未)
『リッチ・アンド・ストレンジ』(1931)Rich And Strange (未)
『第十七番』(1932)Number 17 (未)
『ウィンナー・ワルツ』(1934)Waltzes From Vienna (未)
『暗殺者の家』(1934)The Man Who Knew Too Much
『三十九夜』(1935)39 Steps
『サボタージュ』(1936)Sabotage
『第3逃亡者』(1937)Young And Innocent
『バルカン超特急』(1938)The Lady Vanishes
『巌窟の野獣』(1939)Jamaica Inn
<アメリカ時代>
『レベッカ』(1940)Rebecca
『海外特派員』(1940)Foreign Correspondent
『スミス夫妻』(1941)Mr. And Mrs. Smith
『断崖』(1941)Suspicion
『逃走迷路』(1942)Saboteur
『疑惑の影』(1943)Shadow Of A Doubt
『救命艇』(1944)Lifeboat
『白い恐怖』(1945)Spellbound
『汚名』(1946)Notorious
『パラダイン夫人の恋』(1947)Paradine Case
『ロープ』(1948)Rope
『山羊座のもとに』(1949)Under Capricorn
『舞台恐怖症』(1950)Stage Fright
『見知らぬ乗客』(1951)Strangers On A Train
『私は告白する』(1953)I Confess
『ダイヤルMを廻せ!』(1954)Dial M For Murder
『裏窓』(1954)Rear Window
『泥棒成金』(1955)To Catch A Thief
『ハリーの災難』(1955)Trouble With Harry
『知りすぎていた男』(1956)The Man Who Knew Too Much
『間違えられた男』(1957)The Wrong Man
『めまい』(1958)Vertigo
『北北西に進路を取れ』(1959)North By Northwest
『サイコ』(1960)Psycho
『鳥』(1963)The Birds
『マーニー』(1964)Marnie
『引き裂かれたカーテン』(1966)Torn Curtain
『トパーズ』(1969)Topaz
『フレンジー』(1972)Frenzy
『ファミリー・プロット』(1976)Family Plot
<一部監督作品>
「Memory of the Camps」(1945)(TV)
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